夜の鯨

信号機が真っ赤に染まってブレーキをかける。隣に並んだやけに大きく感じるトラックの、きぃぃと軋む音。夜闇の中、点々と灯る街灯を遠くに見ながら、まるで鯨と泳いでいるような、そんな感覚がした。なんだか夢を見ているような心地になって、このまま溺れてしまえなんて考えていた。

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