記号

学生時代にきっかけは忘れたけれど、親のもう片方の名字を教え合うという謎の遊びがあった。大抵は母方の姓を言いそれが本人と合うかどうかとかよくわからない事を言い合っていて、わたしもそれに巻き込まれた、親の名字ってなに?と。答えた瞬間に☓☓◯◯になるのか〜!なんか、ぽいね!と無邪気に笑う友人。ぽいもなにも数年前までそれでしたからねって返すことはせず曖昧に笑ってやり過ごした。告白したらその場が冷めてしまいそうで。翌日からの学校生活が歪みそうで。あの子たちはわたしが片親であることを今でも知らないしべつに知らせるつもりもない、ただ、あの瞬間に両親揃って当たり前の生活が正しいものと疑わない彼らになにも思わなくなってしまったのだ。

珈琲を一杯。