【物流】トラック事業者に届く監査予告！2024年問題でも注目の適正化巡回指導とは。
貨物運送事業を営んでいると突如、地方運輸支局長名などで『貨物自動車運送適正化事業実施機関』の巡回指導予告が届くことがあります。2024年問題もあり、活発化する可能性もあるのでなかなかニッチな内容ではあるもののまとめおきます。
■適正化巡回指導とは？
許認可事業を営むトラック事業者に対して実施される『貨物自動車運送事業法』に基づく定期的な巡回指導です。事業許可が出ると監督官庁は定期報告や届出以外で許可を出したトラック運送事業が適正に運営されているか確認することが出来ません。そこで当該法律に基づいて定期的に事業が適正に運営されているかを確認する仕組みが出来ました。
監督官庁から何らかの通知が届くと驚くものですが特に悪さをしたから巡回指導をするという性質のものではないのでまずはご安心ください。
なお、巡回指導は２年に１度程度を目標にしているとのことですが１年程度で再度来る場合もあれば数年訪問がない場合も散見されます。
■貨物自動車運送適正化事業実施機関とはなにか？
地方運輸局から指定を受けた機関で都道府県単位のトラック協会が指定されています。つまりは適正化巡回指導は民間に委託されていることになります。
適正化実施機関の業務は都道府県ごとに微妙に言い回しやセグメント分けが異なりますが以下の通りとされています。
①貨物自動車運送事業者に対する指導
巡回指導や街頭パトロールなどを通じて、事業者が法令を遵守し適正な事 業を行えるよう、注意喚起、指導を行う。
②無許可運送行為防止のための啓発
自家用貨物自動車による営業類似行為（いわいる白トラ）を防止するための啓発活動を行う。
③その他啓発、広報活動
繁忙期前に輸送の安全を確保するため、安全総点検を実施やトラック輸送
に対する理解と協力を得られるよう活動を行う。
④苦情処理
貨物自動車運送事業者や荷主からの苦情対応を行う。
⑤行政への協力
行政への提言や法律施行のために行う行政措置の調整や協力を行う。
■適正化巡回指導で用意すべき書類は？
適正化巡回指導で確認される項目と必要な帳票は以下の通りとなります。
よく確認項目と用意帳票がバラバラに記載された一覧表を見かけますが確認内容と帳票を紐づけて考えることが指導を乗り切るポイントですので参考に掲載しておきます。
■適正化巡回指導当日
適正化巡回指導の当日は予告の時間に大体が二人一組で来社されます。
伺った情報ですとAM１件、PM１件を巡回しているらしく割と忙しいようです。
来社されると名刺交換から始まり、巡回のオリエンテーションが実施され会社名や営業所名など基本情報を確認されます。その後、用意した帳票やサンプル的に車両を確認したり、休憩室なども実地で確認します。呼ばれない限りは勝手に確認しているので必ずしもずっと近くにいる必要はありません。
大体、過去一か月分の帳票を確認して、疑義があるようであれば過去の帳票やヒアリングが実施されます。おおよそ２、３時間程度で必要な確認を終了し、講評がありますので極力上位役職の方や運行管理者などが出席してください。
講評では各確認項目ごとに確認した巡回指導員が説明を行います。良い運用の場合は褒められますし、不足があれば改善指導通知書を頂戴し、２か月程度の猶予期間を設定の上、改善の報告（改善した証跡も添付）を行うよう指示を受けます。（地方により変わる場合があります）
■評価の種類
巡回指導の結果「適」及び「否」を付けた項目（「該当せず」を除く）を１００として、「適」の占める割合で５段階評価をします。但し、「重点指導項目」に「否」がある場合は、評価分類を１段階引き下げます。
Ａ：９０％以上
Ｂ：８０％以上９０％未満
Ｃ：７０％以上８０％未満
Ｄ：６０％以上７０％未満
Ｅ：６０％未満
Ｆ（その他）：指導項目が２６項目以下
評価の考え方
A/大変良い B/良い C/普通 D/悪い E/大変悪い F/その他
■まとめ
普段からしっかり業務を実施していれば特別の用意は必要ありませんが
うっかり点呼記録簿の記載を忘れていた、運転者台帳を更新していなかったなども実務上はよくあると思います。
巡回指導ですのでコンサルティング的な側面もあり国土交通省の監査よりはマイルドではありますが巡回指導員には通告義務があり、労働基準法違反などの違法行為が発見された場合には監督官庁に連携されますので決して油断はできません。
確認帳票も多いですので予告通知が来たらまずは早めに各帳票に目を通 し、改善出来るところは着手しましょう。
■適正化巡回指導の確認項目と帳票のエクセル版はこちら
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