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期日


甘い衛生の匂いがする
どんなにか耐えかねて壊れるときの煌めきを
よくよく想像するといい

レモンの青い棘に刺されて
この身はつめたく透きとおる
はらわたにピアノの音符が型を抜く
白鳥は首を伸ばす、ガラスの階段になる
森の上まで延びゆくために
あの子の椅子であるために

ようこそ此処は寒いところ
沈黙によく似たみどりの水面

死にゆく星が見る夢
巨大なまなこ、眩いばかりの呪いが満ちる
生まれたての災禍があなたの真似をする

ねえ地球照、アンタレスは本当に赤いのに

望まれた空
見るも無惨に砕け散り
晴れるならばなお遠く
歌なんか忘れても困らない
金の雲往く
意味の、あるもないも華やかに
祝祭が燃える
旧い言葉を連れてくる
最後の季節を焼き払い
灰が魚に変わるまで
命が水に戻るまで


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