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ADL改善の秘訣?(22人目のAさん)

Aさんは72歳女性。
息子さんと二人暮らし。
自宅でお菓子の製造をしていました。
昔は結構やり手だったらしいと聞きましたが、今は息子に譲っています。
甘いものが好きだったのか、体重は約80kg。
肺炎で入院したのですが、しばらく臥床生活が続いたこともあり、下肢筋力低下。
いわゆる廃用症候群です。
当院でリハビリするものの、立ち上がるのが怖い、足が痛いとなかなかリハビリが進みません。
これは在宅生活が難しかもしれないと考え、とりあえず介護保険の申請をしました。
結果を見てびっくり
給付制限が付いています。
つまり介護保険料を払っていなかったのです。
Aさんに聞くと、収入が不安定で保険料を払う余裕がなかった、とのことです。
国民年金も保険料未納のため無年金。
年間18万円以上の年金を受給していれば、年金から介護保険料は天引きになるのですが、無年金なので自分で納めないといけません。
生活に余裕がなく納めていなかったのです。

Aさんは急いで過去2年さかのぼって介護保険料を納めたのですが、サービス利用時には3割負担となるペナルティが残りました。
とても施設入所は無理。
在宅でもサービスを利用すれば経済的に大変。
結果的にもう少しリハビリを希望し他院への転院となりました。

その後3ヶ月ほどして息子さんから連絡がありました。
Aさんが帰ると言って聞かないので、先日退院してきたらしいのです。
介護サービスは、と聞くも何にも利用していないというので急いでケアマネと一緒に会いに行きました。

Aさんをみてびっくりしました。むちゃくちゃやせている。
当院にいたときには80kgくらいあった体重が、転院して2ヶ月余で15kg減ったというのです。
しかも、起きあがるのさえ怖くて人の手を借りていたのが、トイレまでゆっくりですが歩いています。
これは一体どうしたことか。

まず考えるのは悪い病気でも見つかったのか、ということ。
ところがAさん曰く、転院した病院の食事がおいしくなくて、あまり食べられなかった、スタッフも少なくてコールしてもなかなか来てくれず、自分でしないといけなかった、でもリハビリは割としてくれた、ということです。
当院は看護体制7対1と一番手厚い看護基準をとっています。
何かあればすぐにスタッフが駆けつけています。
しかし、それが裏目に出たということなのでしょうか・・・。

関わりすぎないということも看護のスキル?。
帰って師長に報告すると、え~っと悔しそう。
結局給付制限で3割負担になっていた介護サービスは、利用することもなく基本自立で生活しています。

ADL改善はおいしくないごはんと手厚くない看護のおかげ?
怒られますね。

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