【第三の人生】14の章:生きた人の方がめんどくさい
*登場人物*
萬里→主婦でお役目持ちは、ここんとこ生きた人間の相談がメインみたいになってる。もちろん同時進行であの世対応は休みになることはありません。
『あぁ、萬里はいつの間にかこういう非難や誤解を招く種類の人間になってしまったんだ・・・。』
望んだわけではない、やるしかなくて、ただひたすらやってきた。死人の思い残しをこなす事はキツイ、だけどそれも時間と経験を積むことで慣れてはきた。
これから、死人と同じ比率で向かってくる生きた人間の対応が課題となる。死人は金の話なんかしない死人は人を自分の価値観で判断しない、死人は我が子、我が子孫を傷つけたりしない、死人は自分の罪深さを反省し前向きだ。
飢えて渇望し続け、自分の価値観で物事を図り、子を自分の物のように扱い、これからもずっと続く子や家族の未来を考える事もなく、目の前の事だけに囚われ、後悔はしても顧みる事からは遠ざかる。
周りのせいにして、自己中かと思えば、自分すら愛する事が出来ない。生きた人間の悪いところを挙げればキリがない。
だからといって生きてる人間が皆そうだとも思ってはいない、そうでない生きた人間達の支えで今の萬里はここに立っているから。
それに、どんなひどい目に遭っても、人間を嫌いになることはなかった。
まさか今まで テレビで見ていた別世界の人間(霊能者や祈祷師)に突然なってしまった自分が、偽霊能者に騙されたかもしれない人達や、見えない事は信じない反対派から『霊能者=金儲け』と、ひと括りにされる事なんか考えてもみなかった。
萬里は『やります!やりたいです!そんなリスクなんかなんとも思いません!』なんてすすんで前に出たつもりもない。
こんなキレまくりの相談がしばらく続き人伝い人伝いで、実際に会って対面の相談へと移行していく。
萬里は相談を受ける場所を持っていないので、サクヤさんの治療院の一角で話をさせてもらっていた。
会っての相談は先入観無しで視るために、まず漢字を拾いたどたどしくもそれを読み下し、相談者に今必要と思われるメッセージを基に『おそらくこうではないか』というあいまいな説明。
実際、霊を連れている人はそう居ない。まだ萬里は自分の答えに自信がない、だから今まで培ってきたトーク力と人間力の勝負といってもいいだろう。
当たり障りのない相談に慣れてきた頃、治療院のサクヤさんは自分の患者さんに萬里の事を度々紹介していた。
サクヤさんからの相談者は治療の際に悩みを話し、サクヤさんの判断で萬里の元へ送り込まれる。
霊的な話しや宇宙について、世紀末や不思議な世界の話が大好きでたくさんの本を読み、H氏からの情報を頭に入れ知識だけはたくさん持っているサクヤさん。
萬里はまだ死ぬほど悩んでいる人にも出会ってはいないので、気持ち的には比較的落ち着いて対応できている。
『ずっとこんなだったらいいな~』とか考えていると、誰の采配かそれはすぐに覆される方向へ向かう。
御言葉を降ろす事
お守りを作る事
お札を作る事
ある程度目に見える形の事には値を付けて、メニュー(値段表)を治療院の方へ置いておきなさい。との指令があった(←もちろん後ろから)
金額ってまず相場がわからないし、未だに抵抗があるし、後ろに聞けば現実ではありえない金額を言われるし
「己の行いを安く見積もるな!」と、怒られる
( ;´Д`)
ひとまず、案内を置く必要があるというのならで、萬里にとっても抵抗の無い金額を決め、テーブルに置けるサイズの値段表と名刺を作った。
それから間もなくサクヤさんのところへ来た患者さん、その名刺が目に留まり相談をしたいという50代女性からの予約が入った。
それを聞いた時、なぜか嫌な空気を感じた。喜んでお受けします!というような気持ちは無かったような気がする・・・。
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