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𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす 人は何のために生きているのか。じつは、あらかじめ意味を持って生まれてくる人間は一人もいない。その意味では、人間は石ころと同じである。 自分は会社にとって必要な人間だと言ったところで、その会社がなくなれば意味はないし、いくら世の中に貢献していると言ったって、明治維新や終戦のように世の中の方がガラッと変わってしまうこともある。石だって一定の大きさと重さがあれば漬物石にはなるが、それも漬物あっての話である。意味は後から与えられる。 自負、自尊心
𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす Twitterである高校生が、「なんで会ったこともない他所のおじさんに黙祷しなきゃいけないんですか」と書いていて、思わず笑ってしまった。確かに、「会ったこともない他所のおじさん」に違いない。 大学生の頃に所属していた同好会で、学年は私より上だが後から入ってきた女子学生の名前が、その「おじさん」と同姓であった。加えて、顔立ちもどことなく髣髴とさせるところがあって、自己紹介の際に恐る恐る訊いてみると、やはり後胤であらせられるということがわかった
𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす 夕食時にテレビを見ていたら、花火の映像を中継していて、それを見ていたスタジオのタレントが「CGみたいですね」と言った。むろん褒め言葉のつもりで言ったことはわかる。しかし、この一言がどうにも気になって仕方ない。 真意としてはたぶん、「現実を超えるような美しさですね」ということだと思う。しかし、受け取りようによっては「作り物めいて見える」という否定的な意味にもとれる。むしろ、私なら素直に受け止めればそういうふうに理解する。昔のCGはいまから見れ
𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす 『シャイン』という映画をご存知でしょうか(一九九五年製作/オーストラリア)。アカデミー賞まで獲ったのに、テレビでもあまり放送されることがなく、いまでは忘れられてしまった作品です。デイヴィッド・ヘルフゴットという実在するピアニストの半生を描いたドラマで、あらすじはこんな感じです。 デイヴィッドは幼い頃から厳しいピアノの英才教育を受けていました。音楽家に憧れながらもその夢を果たせなかった父親が、息子に希望を託したのです。やがてデイヴィッドの才能