マスク必須のWithコロナ時代、どうやって「笑顔」で接客するの? プロがコツを教えます。
いらっしゃいませ!
「Withコロナ時代」となりつつある今、「笑顔が集う場所」を作るために、私達はお客様をどのようにお迎えし、どのように接するべきでしょうか。
養老乃瀧本社/接客チームの伊藤さんと稲福さんに、笑顔の接客についてのコツを聞きました。
(イラスト/安田ナオミ)
ポイント ❶おもてなしの心は「目」に表れる
笑顔作りに特に大事なのは目。「目は口ほどに物を言う」という言葉があります。お客様に笑顔で接しても、目が笑っていなければ、作り笑いだと思われてしまいます。
今はマスク着用が基本ですが、マスクの下の笑顔は、ちゃんと目に表れるもの。今の時代でも、笑顔作りを怠ってはだめです。
笑顔作りのポイントは(1)上の歯を見せる(2)口角を上げる(3)目を細め目尻を下げるの3つです。
言葉にすると難しく感じる人は「ウ・イ・ス・キー」と言ってみましょう。昔からのやり方ですが、今も大事な基本です。
口元がマスクで隠れていても「お客様をしっかりおもてなししよう」という気持ちは、必ず目に表れます。心の底からいい笑顔を作れば、それはちゃんと伝わっていきます。
ポイント ❷「いらっしゃいませ」のトーンは、ドレミファソの「ソ」
特に新人スタッフは「いらっしゃいませ」などの言葉をどれぐらいの声の大きさで言えばいいかわかりません。大きい声を出しているつもりでも、なかなか声が通らないと悩む人も多いようです。
入口でお客様をお出迎えする時、スタッフは少し離れた場所にいることが多いもの。お出迎えの時は少し声を張り、遠くにいる人に声をかけるつもりで「いらっしゃいませ!」とお声がけしてみましょう。
コツは、普段よりワントーン高い声を意識すること。イメージはドレミファソの「ソ」です。
あまり声が大きいのも考えもの。お客様を威圧してしまいかねませんし、Withコロナ時代です。特にお席で1対1でお話しする時、あまり声を張る必要はありません。状況をよく見て、声のトーンと大きさを使い分けましょう。
ポイント ❸「最初と最後」に笑顔で印象づけよう
笑顔を続けるのはなかなか大変。常に笑顔でいようとすると疲れてしまいますので、慣れないうちはポイントを押さえましょう。
特に大事なのが「最初と最後」。まずはお出迎えする時に、元気よく「いらっしゃいませ」と言ってにっこり。そしてお客様のお席に入る時に「失礼いたします」「お待たせいたしました」と言ってにっこり。そして席を出る際に「失礼いたします」「少々お待ちくださいませ」と言って、またにっこり。そして最後、レジでのお会計を終え、お帰りになる際に「ありがとうございました」とにっこり。
キャリアが浅いうちは、この4つに絞りましょう。
ポイント ❹まずは「接客6大用語」から覚えよう
まず「万人受けする丁寧な言葉」を覚えましょう。丁寧に話して悪く言われることはありません。基準は「接客6大用語」。
この中には「かしこまりました」「少々お待ちくださいませ」など、普段なかなか使わない言葉も含まれています。何回も復唱して、自分の言葉にしてしまいましょう。カジュアルな言葉を使うのは、その後です。
ポイント ❺コロナ対策は「どうしてもやっていただく」もの
今の時代に必須のコロナ対策。どこのお店も行っていることですが、「やってもらって当然」と高圧的にならないこと。「申し訳ありません。面倒ですけれどもお願いします」という謙虚な気持ちをしっかり示しましょう。
また複数のお客様の場合、食事の取り分けを気にされる方が多くいらっしゃいます。食器についての決まりを守るだけでなく、お客様のようすを見て、必要に応じてお箸などをお渡しするといいでしょう。
ポイント ❻常連さんを覚えて「自分の言葉」で会話を
意外と難しいのが、いわゆる「常連さん」との距離感。常連さんの顔を覚えて会話するのは、お酒を出しているお店ならではの特徴。お客様によって言葉と会話の内容を変えるのは居酒屋ならでは。会話の基本はマニュアル通りにすべきですが、ある程度慣れたら、自分なりの言葉でどんどん接客していくといいでしょう。
丁寧すぎる言葉遣いでは心の距離が生まれてしまいますし、友達のようになれなれしく接するのも考えもの。常連さんもいろいろな方がおられます。楽しい会話を求めている方も、静かにご飯を食べたい方もいらっしゃいます。表情や雰囲気を見て『どんなお仕事なさっているんですか』『お名前をおうかがいしてもよろしいですか?』と、徐々に距離を詰めていきます。
ご来店された時またはお帰りになる時が、世間話のおすすめタイミングです。そして次回のご来店から「〇〇さん」とお名前で呼ぶことで、一気に距離が縮まっていきます。ぜひ試してみてください。
結局、接客に「正解」はございません!
「居酒屋の接客はマルチタスク。あるお客様についている時に別のお客様に遠くから呼ばれたりと、常にいろいろなことが起こります。その中で何を優先させるかを一瞬で決めることが一番難しく、こればかりは経験としか言いようがありません」(伊藤さん)
「同じことをしても、あるお客様は喜んで下さるけれど、また別のお客様は不快に感じられる、ということはたくさんあります。お客様に合った接客を常々心がけるべきですが、お客様と会話せずとも肌感覚で理解することが大事。それは経験が必要ですが、マニュアルにとらわれ過ぎず、感じ取ることが大切です」(稲福さん)
そう。結局、接客に『正解』はないのです! 何にでも、どんな時にも通じる正解がないのはもどかしくもありますが、それが接客のだいご味であり、居酒屋のお仕事の楽しい部分なのです。
(終わり)
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