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道草植物図鑑No.16「ヤマノイモ」

とある冬の日のお散歩。
ふと見上げると、不思議な植物が目に入りました。

ドライフラワーの装飾品みたいな、お洒落な風貌。
木の実なのかと思ったら、どうやら木に絡まっている蔓性植物のようです。

さっそくお家に帰って、
植物図鑑をパラパラめくって、同じ植物を探します。
そして見つけたのが「ヤマノイモ」。

ヤマノイモって、あのヤマノイモ?!
自然薯の?

というのが率直な感想。
自然薯って、食べる部分しか見たことがない。
地上部がどうなっているかなんて、
考えたこともなかった。

こんな美しい実がなるなんて、全然知らなかった...。

ヤマノイモとの出会いは、私の中では結構衝撃的なものでした。


それからおよそ7ヶ月後。
8月も終わりに近づこうかという日に、別の場所でまた出会うことができました。

林の中で慎ましやかに、
でも凛とした様子で生育していました。

小さな白い花とハート型の葉っぱが連なる、愛らしい草姿。
ちなみにヤマノイモは雌雄異株らしく、このとき出会ったのは雄株でした。

さらにまた別の場所で、果実を発見。
熟す前の緑色の状態です。

やっぱり、なんだか繊細なお洒落さを感じる形です。
例えば、お部屋の窓際に吊るすように飾ったら、
窓から差し込む光を受けて、
とても素敵なインテリアになりそう。

こういう形の果実は翼果といって、
風で遠くへ飛んでいけるように翼のような形になっているんだそうです。
とても実用性のある設計ですね!

また果実があるということは、こちらは雌株ヤマノイモ。
よくよく目を凝らすと、小さな小さな雌花が見えます。雄花よりも小さい!

こんな小さな花が、こんな複雑な形の果実になるってなんだかとても不思議!

そして、また別の場所でヤマノイモを発見!
街中のトタンのフェンスに絡みついていました。
ヤマノイモは栽培されるもの思っていたけれど、こんなにも普通に野生のヤマノイモに出会えるのね。

そして、この個体にはムカゴができていました!
ムカゴも市場で売られているものしか食べたことがなかったので、道端でこんな手軽に手に入るものなのか!と驚きました。
ホクホクしてて美味しいですよね、ムカゴ。

あと少し驚いたのは、ムカゴは雄株にもできるんだ!ということ。
ムカゴは親株自身が分裂してできる栄養繁殖器官なので、雄株にできても全然不思議じゃないのですが、
次世代を残すのは雌株という思い込みがありました。
ちなみにムカゴは親株と遺伝的には全く同じものなので、雌株にできたムカゴは雌株に、雄株にできたムカゴは雄株になるそうです。

最近とても驚かされ、感動させられた植物、
ヤマノイモさんでした。
農家さんが栽培しているヤマノイモも見てみたいな〜。


ヤマノイモ
Dioscorea japonica
ヤマノイモ科ヤマノイモ属

在来多年草
花時期 : 7月〜8月
生育地 : 路傍、林縁


出典 : 雑草・野草の暮らしがわかる図鑑/
   岩槻秀明
   花と葉で見わける野草/近田文弘・
   亀田龍吉・有沢重雄


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