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君の好きなバンドを聴いた

君の好きなバンドを聴いた。
思っていたよりも爽やかで、切ない歌だった。
気持ちが先へ先へと急いでしまって、
最後まで聴ききらないうちに、いいね👍とLINEで言ってしまった。
本当はそんなに良いと思わなかったのに。

君のロックはこの声と重なってるんだ、とか
君はこんなのをかっこいいと思うんだ
私にとっては君の方がかっこいいのに
なんて恥ずかしいこと思ったりして。
君にこの歌を歌って欲しいと思った。
君の中の音楽の形が気になった。
私みたいに激しいロックが好きでいてほしい、という考えを、押し付けようとしていたのかもしれなかった。

そんな自分を自覚して、少しイラッときた。
まだそんな関係にないのに何を求めてしまったのだろう。
まだ君とは知り合ったばかりなのに。
君はまだ私のことをか弱い女の子だと思っているのに。

むしゃくしゃして、ずっと迷っていたクリープハイプを勧めた。
君はMVの人変わってるねと笑ってくれた。
ううん、違うの。クリープハイプの良さはもっと違う所にあるの。
そう言いたかったけれど、LINEじゃ言いにくかった。
結局、そうだね、なんて返した。
まるで君を全肯定するようだ。

自分のあげた私の理想像のハードルの高さが怖くなって、
君が早く私を嫌いになることを望んでしまった。
君は私をどこで嫌いになるのだろう。
私への好意をかき消すような嫌いな所をいつ見つけてしまうのだろう。
終わりは悲しいから、もういっそ早い方がいい。
君は私を好きにならない方がいい。

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