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【愛しの女子たちへ】『北欧との出会い』⑫「離婚しても父親は子育て」

ストックホルムでシェアハウスを紹介してくれたクリステルは日本文学の研究者だということがわかり「えっー、じゃ日本語わかるんでしょ」と言う私に、絶対、英語でしか話してくれない「変人」でした。でも、別れた妻が一週間もクリスマス休暇でイギリスへ行っている間、2歳の息子を一人でみているという。

「うそー、田舎から出てきたあなたのお母さんにみてもらってるんでしょ」というと、母親はもう帰ったし、クリスマスだけでなく、しょっ中、息子は自分の家にきて泊まっていくという。「じゃ、家見せて」という私に根負けした彼は車で家へ連れていってくれました。
マルガレータのアパートから車で10分の二階家。一階はダイニングとキッチン、バスルーム、トイレ、居間が2室、二階は寝室2室とバスルームで、その一室には坊やのベビーベッドや洋服の入ったたんす、おもちゃまで。

妻の妊娠中は二人で両親学校に通い、沐浴のさせ方から、哺乳ビンでのミルクの飲ませ方も習い、生まれてからは二人で育ててきたから、別れても保育園の送迎もすべて半々にやっているとのこと。

そもそも、クリステルが子育てが上手なのは両親学級に通ったせいではなく、保育園の頃から料理でも何でも教わって、男女の別なく自分のことは自分でできるし、子どもや高齢者、障がいをもつ人の手助けをするのは当然になっているというんです。


そこで保育園に行ってみたら、4歳児の背丈にあわせたキッチンがあって男の子も女の子もクッキーも焼けばシチューも作っている。家庭科の料理も裁縫も女子だけが受けるという時代に育った私には大変なカルチャーショックでしたね。

離婚理由は話してくれなかったけれど、クリステルは妻と別れる時、息子が16歳までは近くに住んで、経済的なことだけでなく物理的にも育児を分担することを取り決めたというのです。

慰謝料とか財産分与は?

「家は彼女と息子がそのまま住んでるけど、残ってるローンは彼女が払い、僕はこの家を借りて家賃を払っている。同額くらいだと思うよ。息子の養育費は当然払っているよ」とのこと。

スウェーデンでは結婚出産後も働き続ける女性が大半だから、離婚時に経済問題でもめることは余り無いらしい。ましてや経済力が無いからという理由で、夫の暴力や浮気等で別れたいと思っても離婚できないなんてことは無いというのです。

そういえばイケアの取材で訪ねた家庭のいくつかは、会社の社長や重役でしたが、たいていの家庭で妻も仕事をしていましたっけ。


こういう素敵な家に住んでいる家庭の妻も働いていました!
結婚したら肩たたきされたり、出産したらもう戦力じゃないといわれたり、一旦やめると再就職時に年齢制限があって特技も資格も活かせない日本の社会とずいぶん違うと、ため息がでたものです。

女性が働き続けられる社会を作れば、離婚したからといって母子家庭が貧困におちいることはない。離婚しても子どもの親に変りはないのだから、子どもの養育に父親はもっと関わるべきだ。
そんな思いが、この北欧旅行の一年後、私がニコニコ離婚講座を開くきっかけになったのです。

「北欧との出会い」はここまで。
次回から新シリーズ「女性のライフスタイル」①
「財産分与も慰謝料も無しが半分」に続きます。

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