見出し画像

夢の国へいくまえに

週末、イクスピアリへいってきた。

舞浜駅そばのこのショッピングモールは、まるで夢の国の延長線のような商業施設だ。

イクスピアリとは、体験を意味するExperience(イクスペリエンス)とペルシア神話に登場する優しく善なる妖精peri(ピアリ)の2つの言葉から作られた造語。
海辺の街が交易を通じて世界中の人々と触れ合い、独自の物語と歴史に基づいて形成された建築デザインと街並みは、他に類を見ない商業施設です。
── 公式HPより抜粋


来月、親戚が泊りがけで遊びにくる。行きたいところは?と聞くと「ディズニーランド…いや、シーにいきたい」との答え。

それを知った5歳娘、ついにお口が拡声器へかわってしまった。「ディズニーいくんだよね~~」と弟(3歳)とよろこびをわかちあい、保育園ではお友達や先生方にどや顔で伝える始末(やめなさい…)。

1ヶ月も前からこんな調子では、当日、娘は息することすら忘れてしまうかもしれない。テーマパーク慣れしていない幼児にとっての「いきなりディズニー」は、赤子の離乳食にステーキをだすようなものじゃないだろうか?との考えがふと頭をよぎり、私たちは急遽イクスピアリへいくことを決めた。何事も段階をふむことは大事なのだ。

・・・

京葉線下り列車に乗ると、ミッキーマウス然とした人の群れ。車窓からシンデレラ城が見えたとたん小さな歓声があがる。わが家の5歳3歳も「わぁ」と窓ガラスに張りついた。

舞浜駅で降車する。ランドと逆方向に数歩いくと大きなアーチがみえてきた。

IKSPIARI(イクスピアリ)だ!!

小雨の空にハロウィンのオレンジがよく映えている。まるで夢の国の入り口みたい。

画像1

カボチャのランタンをいくつもくぐり、くねくねとした小道を抜ると広場にでた。

飛び込んできたのは巨大カボチャのオブジェ。

画像2

当然のように、なかでポーズを決める子どもたち。満開の笑顔がとてもかわいい。

パチリ、と笑顔を写真にのこす。ディズニーストアで仮装コスチュームをひやかす。するりと次の扉をくぐると、

画像3

画像4

「え!ディズニーランド!?!?」

夫が驚きの声をあげた。

シネマエリアにはいると、そこはまるで異国の(というかハワイの)にぎやかな夜の街。肉の塊を焼く匂いが鼻をかすめる。

実はイクスピアリにきた一番の目的は、ディズニーランド/シーの下見をするためでもあった。パークでの食事プランを練っていた夫が、「園のレストランが激混みだった場合は、『イクスピアリのレストラン』という手もある」というので、じゃあイクスピアリってどんなところよ?と、一度いってみることにしたのだ。

「もはやディズニーランドだね!ここは!」

夫よ、それはさっきも聞いた。どうやら、初めてのイクスピアリだった夫にとって、この施設が想定外に良かったみたい。しきりに「いいねいいね」のボタンを連呼する。


きらびやかなネオン街がおわると、周囲はハワイの夜からイギリスのアフタヌーンへ一気に飛ぶ。

画像5

子どもたちが、ひっそり佇む扉をそっと開けた。階段の先にはだれもいない庭園。秘密の花園のような景色がつづいている。

画像6

降ったりやんだりを繰りかえす雨の日なので、タリーズテラス席には誰もいない。静かな庭に子どもたちの歓声が響いた。


私がイクスピアリを訪れたのは、今回で2度目となる。

前回は5年前。長女が生後半年に満たないころだった。ひきこもり耐性はあると思っていたけれど、あのころの私は赤ちゃんとの密室生活に完全にまいっていた。来る日も来る日もやってくる「日常」がただただ怖かった。

非日常にいきたい...

ふと、イクスピアリが頭に浮かぶ。なぜだったか、理由は忘れてしまった。ディズニーは数年の頻度で満足しちゃうライトなファンなのにね。

はじめて赤ちゃんとふたりっきりで電車にのる。えいっと一歩踏みだしてみたものの、心臓のばくばくがとまらない。見下ろすと私の胸に寄りかかってスヤスヤ眠る娘。イクスピアリに着くと当てもなくぼんやり歩きまわった。

チョコレートの香り
異国の街並み
メルヘンな小道

移りかわる景色を眺めているうち、ばくばくがわくわくにかわっていく。

ディズニーストアにはいる。来週遊びにくる友達の子にお土産でも買おうかな。ひとつひとつ棚をみてまわるうち、あれほど怖かった日常が愛おしく思えてきた。

「そろそろうちに帰ろうね」

赤ちゃんとのささやかな冒険が終わり、すこしだけ強くなって、私はまた日常へと戻った。


3歳息子が電車に乗りたいというので、ディズニーリゾートラインへいく。

ディズニーリゾートラインは、そのJR舞浜駅と東京ディズニーランドや東京ディズニーシーを結び、東京ディズニーリゾートを周回するモノレールです。
 ── 公式HPより抜粋

画像7

画像8

ミッキーマウスなモノレールの先頭車両に乗りこみ、ランドとシーを上から眺めた。

「ほら!お山が火を噴いてるよ!」

ディズニーシーのシンボルに興奮する大人をよそに、黙って外を見続ける3歳息子。なにをそんなに真剣にみているんだい?

「あ、みて。こうじげんば」

急に身を乗り出して息子が言った。
そっか。働くくるまが好きな君にとっては、建設サイトのほうがよっぽど非日常なんだね。

画像9

約10分のぐるり旅もおわり、そろそろ帰る時間が迫ってきた。苺ソフトクリームを夢中で食べ、イクスピアリを後にする。

・・・

帰り道は、疲れてしまったのか口数の少ない子どもたち。最寄駅からは気前よくタクシーにのる。と、ぼうっと流れる景色をみていた5歳娘がつぶやいた。

「ディズニーランド、楽しかったね」

またいきたいなと、私をみてはにかむ娘。

画像10

うん、そうだね。次こそはディズニーランドへいこう。

君たちが夢の国でどんな顔をするのか、いまから楽しみでならない。


🎃さいごに🎃

私のスマホ写真では、とことんフォトジェニックなイクスピアリをお伝えしきれないので、Instagramの公式ページよりいくつか写真を貼りました。

舞浜駅はディズニーランドだけじゃない!

すこしだけ非日常に浸りたいとき、また、夢の国の入り口に行きたいと思います。


お読みいただきありがとうございます。 「いいな」「面白かった」で、♡マークを押してもらえるとうれしいです。