「パパがいい」と子供に泣かれる朝は
最近、noteには「朝」の話題しか触れていないけれど、今回も朝のワンオペ育児について書きたいと思う。
(朝がたいへんなんです。ちょっとここで吐き出させてください…)
▽ ちなみに前回はこちら
平日はいつも、7時前に家をでる夫。
子どもたちが起きていれば、ひとりひとりと「いってきます」「いってらっしゃい」のハグをしてから出社する。
今朝は、2歳の息子のみ起きていた。
息子は、パパを独り占めして一緒に朝食のパンも食べてとてもご機嫌。
しかし、夫が家をでる時間になると。
「パパと一緒に、お仕事いくの!!」
そう言って、食べかけのパンを放り出し、夫を追って玄関にいってしまった。どうやら、今日はパパ大好きスイッチがオンのよう。
だけど、まぁ、当然ながら仕事には連れていけない。
ばたんと閉まった玄関先で泣き崩れる2歳児。夫だって、さぞ後ろ髪ひかれる思いで出社したことだろう。
よしよし。頭をぽんぽんしながら2歳児を抱っこしていたら、4歳児も起きてきた。すると2歳児も機嫌をもち直し、ふたりでパンを食べ、デザートのバナナも食べ、おもちゃを広げて遊びはじめた。
* * *
「さあ。そろそろ家をでる時間」
子どもたちに声をかける。
お、さすがは4歳児。たんたんと準備をはじめた。リュックをしょって水筒をもって玄関で待機。
そして、本日のご機嫌ななめ大賞は、なんと0歳児。めずらしく、朝のミルク後からずっとぐずっている。もうかれこれ30分間も泣き通しなので、すでに私と抱っこで合体している。
あとは2歳児をベビーカーに乗せれば、出発の準備完了。
2歳児に「保育園いこう」と声をかけると、ぷいっと顔をそらして遊びを続けてしまった。
「グミあるよ、ベビーカーでグミ食べよう」と誘う。いつもはこの最終手段で、なんとかベビーカーに乗せる。
「……パパがいいの」
ぼそっと、2歳児がつぶやいた。
え?パパ??
もしかして、さっきパパに置いて行かれたこと、まだ引きずっている?
「パパは会社だから、ママと行こう」と話しているうちに、本格的に「保育園行かない」モードに突入する2歳児。ふんぞり返って泣きはじめた。
うわぁぁ、どうしよ。
相変わらず0歳児だって泣いたままだし、4歳児は玄関先で「まぁだ~」とすこし不機嫌な声をだす。
とりあえず、いつでも出発できるようにベビーカーと荷物を玄関の外にだし、4歳児には「玄関の前で遊んでいて」と縄跳びを渡す。
……長期戦になるかもしれない。
2歳児の気持ちが切り替わるまで待つことを覚悟をして、転がり泣く子のまわりに障害物がないことを確認して、私もいったん玄関の外へでる。
空を見上げると、どこまでも青く晴れ渡り、五月の爽やかな風が吹いている。
4歳児は縄跳びを10回連続で飛んで満足そうに笑い。0歳児は泣いたままなので、私は小刻みに揺れてあやす。横目で2歳児をみると、もう鼻水と涙でどろどろ。親子4人とも汗だく。
夏じゃなくて良かった。
雨じゃなくて良かった。
そう、ポジティブに考えてみるけれど、じわじわと自分のエネルギー残量が、心の余裕が、削られていくのが分かる。
* * *
結局、その後どうしたかというと。
「パパがいい」と主張する2歳児に「パパがいいよね~。分かるよ。でも会社だからママと行こう」と、なんとか説得を試みる私。かれこれ30分、ふたりの会話(?)はひたすら平行線をたどる。
ああ。これは、あれだ。
何気なく言ってしまった手前、後に退けなくなったってヤツだ。
大人の世界にもあるじゃないか。会議の席でぽろっと言った意見に思いがけず反論されて、ついついヒートアップして言い合いになる同僚とか相手先とか。
こういうときは、どうするんだっけ。
ムリにこちらの主張を通しても、まず納得なんかしてくれない。お互いが妥協できる「落としどころ」を模索するしかないんだよなぁ。
「パパがいいぃぃぃぃ」とぎゃん泣きで断固主張する2歳児。その手をぎゅっとして、「ちょっと聞いて!!」と目をみて話しかける。
一瞬、私の気迫に押されたのか、2歳児がきょとんとした。
「お母さんに見えるかもしれないけれど、私はパパです!!」
そう言い放った。
「……パパと行くぅ」
2歳児はそう言ってしゅんと泣き止み、ついには、ぎゅっと私に抱っこされたのだった。
* * *
なんとかベビーカーに息子を乗せて出発できたものの、私はちょっと落ち込んでいた。
それは、子どもに「ウソ」をついてしまったから。
でも。
ここからは、私の勝手な推測なんだけれど。2歳7か月になる息子はちゃんと「ウソ」だってこと、分かっていたと思う。
泣きながらも「パパがいい」という言葉を引っ込めるタイミングを見計らっていたんじゃないだろうか?
だからこそ、「パパだよ」という私の堂々としたウソでも、納得してくれたのかな?
まぁ、そんなの私の都合よすぎる解釈かもしれないけれど。
たぶん、2歳の息子と「対話」を通して行動をともにできる日が、もうすぐそこまで来ている。
そんな気がして、5月の、私たちのあいだをすぅっと通りけていく風が、心地よく感じた。