狼男

私は狼男じゃなかったみたいです。
今日ふと見上げたそれは
凛と白い光を放っていて、
私の中で、狼になってしまうのではないかと
一瞬、緊張が走りました。
でも私は狼男じゃなかったみたいです。
空に釘付けになった私は、それから許されたように地面に視線を戻し、また歩き始めたのでした。
だけど、世界のどこかで今夜、
たしかに誰かが天へ吠えていることでしょう。
私は微かに、その声を聞いた、
気がしました。

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