漫画原作「ファーマシスト」第二話シナリオ

第二話「副作用」

暗闇の部屋ベッドの上で唸る老人


鳥のさえずり
錠吉荒廃した街の道を歩く。
錠吉「隣の街までかなりの距離だ。鉄道か車がいる、、、か」
街人が不思議そうに錠吉を見る
錠吉「、、、」
昨日の騒動で街のニュースでは指名手配として錠吉の顔が出ている。
街から少し離れた川沿いの道
一つの小屋を見つける
中からセールスマン風の小太りの男が出てくる
小太り「じゃ、またお大事にね!くれぐれも無理しちゃいけませんよ」
小太りドアを閉めて錠吉とすれ違う。
錠吉 小屋を見つめる
中では先ほどの老人が1人でテーブルイスに座ってる
テーブルには錠剤とカプセル、水が置いてある
老人「これで、3回目だ、、また次あの発作が起こったら今度こそわしは、、、」
錠吉「おじいさん、どうかされたんですか?」
老人「え!?」
錠吉 老人が飲もうとしていた薬を手に取ってみる
老人「お、おまえさん、、なんだい急に」
錠吉「私はファーマシストです。通りすがりですがね。」
老人「ファーマシストさん、、?これで何人目だ、、、」
錠吉「何人?かかりつけがいないのか?」
老人「わしのかかりつけは戦争で亡くなってる!もう何年もかかりつけなんておらんよ」
錠吉は老人を見つめる。
老人「わしは寝たい。帰っとくれ」
錠吉「こりゃ失礼した。ところで、この薬は一回何錠で飲んでる?」
老人「一回?3錠に決まってるだろ!」
錠吉「ほう?では、目的は?」
老人「心臓病の治療に決まっとるだろ!!」
老人怒鳴り散らす。
老人「お前さん!ほんとにファーマシストか!?ろくな知識もない!出ていけ!!」
錠吉 家から追い出される。

次の日の朝 
老人の家に2人組の男が訪問
スーツ姿 胸ポッケに名札がついている
老人「どなた?」
スーツ2人「旧川口薬師会のものです。あなたはニッケさん?」
老人「いかにも。私はニッケじゃが?」
スーツA「ニッケさん、あなたのお宅はテレビもラジオも置いてありませんな。これはいけませんよ」
スーツB「今や、先の大戦で医療は崩壊している。巷には胡散臭い民間療法やらが蔓延してる」
スーツA「最近ここのエリアで胡散臭さ満載のファーマシストがうろついているらしい」
ニッケ「胡散臭いファーマシスト、、、?」
ニッケは頭に錠吉を浮かべる。
ニッケ「あ、あのあんちゃんか!?」
スーツ2人「なに!?」
スーツ驚き
スーツA「ニッケさん!そいつはこういう顔では?」
スーツBが一枚のイラストを出す
錠吉の顔のイラストだ。
ニッケ「こ、こいつだ!!確かにうちに来た!」
スーツA「こいつは3日前に旧大宮薬師会を襲ったテロリストですよ。何もされませんでした?」
ニッケ「わしの薬にイチャモンつけよったわ!一回何錠で飲んでるだとか、、、、」
スーツ2人顔合わせ。
スーツB「とにかく、次にこいつが来ないとも言えない。これを渡しておきます」
小型の信号機で赤いボタンがついてる。
ニッケ「いやー、ご苦労さん。危うく殺されるところだったわい」
ニッケご満悦。スーツの2人笑いながら帰る。


ニッケうなされる。
ニッケ「ううう、、、ううぁ、、、」
ニッケ ベッドの上でもがき苦しむ
ニッケ(か、、体が熱い、、し、、死にそうだ、、、)
ニッケの家のドアが開く。
錠吉 「じいさん!」
錠吉 急いで風呂敷を開けてニッカの口に液体を一滴垂らす。
ニッケ「はぁ、、、はぁはぁ、、あれ?」
ニッケ息切れ治る。ベッドの上にあぐらをかいて
ニッケ「お、お前さんは昼間の!!わ、わしに何を!」
錠吉「鎮静薬さ」
ニッケ「なに!?お前はインチキファーマシストじゃないのか!?」
錠吉 ニッケを睨んで
「まだ疑いますか?」
ニッケ はっと気付かされる
ニッケ「お、お前さんが本物のファーマシストさん、、、?てことは、あの薬局の店主は、、?」
錠吉はニッケが服用していた薬を右手で取り、
「こいつは本来の服薬量は一回一錠だ!しかもあんたが飲んでるのは心臓の薬じゃない!興奮した獣用の安定剤だ!!」
ニッケ「な、なんじゃと!!、わしは今まで、、、」
錠吉「おじいさん、あんたを騙してやつことインチキ野郎だぜ」

インチキファーマシストのアジト
小太り「いやーメシウマだな、こんなにたんまり貰って」
札束が置かれたテーブルで金を数える小太り。
ドアがバダッと開く。
小太り 焦りながらドアの方へ目線。
錠吉が立っている。
小太り「な、なんだテメェわー!!!!」
錠吉「俺はファーマシストだ」
小太り「ふぁ、ファーマシスト!?」
錠吉「ニッケさんから話は聞いてる。お前、薬を使った悪行は許さんぞ」
小太り「は!なんだ、俺はファーマシストだ!」
小太りほくそ笑みながら錠剤を取り出す。
小太り「一回2錠!!マディンドーレ!!」
エフェクト 小太りが薬を飲むと体が紫色に光る。
錠吉 小太り見つめる
小太り「は!こいつの効能がわかるかな、ファーマシストさんよぉ!」
小太りの体が丸々大きくなり、またの体の3倍になる
小太り「死ね!!!!」
小太りの右張り手 錠吉素早くかわす
小太り「まだまだぁ!!」
小太りの張り手ラッシュ 錠吉素早くかわす
小太り「すばしっこいやつだぁ!」
錠吉の頭部にはうさぎの耳が生えてる。臀部にはフサフサのウサギの尻尾が。
錠吉は擬似兎化薬 ラビットールを飲んでる
錠吉 うまく小太りの張り手をかわしながら
「おまえには一つだけ忠告がある」
小太り「ああ?」
錠吉「超人化薬は耐性上、使用できる人間とできない人間がいる」
張り手かわしながら続けて
「お前はファーマシストではないが、耐性がある。だから薬は飲める」
小太り「ああ?なんだ急に、」
錠吉「だが、お前には知識がない。薬識なき、投薬は身を滅ぼす!」
小太り「頭おかしくなったか!この状況が怖くて怖気付いたのかぁ!?俺は服用の回数も用量も知ってんだよぉ!!」
錠吉「副作用だよ」
その瞬間 小太りのパンパンに膨らんだ両腕が爆発して吹き飛ぶ
小太り「が、、はあ、、」
錠吉「マディンドーレは巨人化薬だが、副作用として腕の剥離が見られることがある。お前の腕が巨人化してからみるみる膨張していくのが見えた。」
小太り「ぐっ、ぐぅ、、がっ、、、、、は、、、」
錠吉「誤った使い方をしなくても副作用のない薬はない。それを見抜くのもファーマシストの仕事だ」
小太り死亡。血まみれの部屋に佇む錠吉。
錠吉 突然涙を流す。
錠吉「母さん、、、。あなたはこれ以上に苦しい副作用で、、、。」

第二話完
#創作大賞2024 #漫画原作部門

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