実用世界史2:現代科学は全てヨーロッパがもたらしたのか?
突然だが、皆さんはこの人物をご存知だろうか?
おそらく知らないであろう。
現代の科学技術の多くはヨーロッパがその基盤を築いている。これは日本やその他の国の学校で勉強していれば自然と気づく事だと思う。人々は言う。それは、ヨーロッパは世界で最も優れた国や人材が集まっていたからだ。私は今回の実用世界史では、これに対して疑問を呈したい。果たして本当にヨーロッパが優れていたからなのか?
ヨーロッパの偉人は科学者は多く世の本やメディアで紹介される。ニュートン、ライプニッツ、ガウス…
今回は埋もれてしまった非ヨーロッパ圏の科学者を紹介したい。
ペルシャの偉人 ウマルハイヤーム عمر خیام
先程の写真の人物の答え合わせをしよう。
彼の名はウマルハイヤーム。現イラン ニーシャープール出身と言われている。当時はイスラーム圏の範囲は大きく、セルジューク朝と言われる。彼はそのセルジュークの学者、詩人であった。
彼がやった功績を簡単に4つ紹介する ①『ルバイヤート』 ② ジャラーリー暦 ③ 非ユークリッド幾何学の礎 ④ イスラム教に反する哲学
①『ルバイヤート』
ウマルハイヤームの詩人としての側面。ハイヤームは無常観が言葉の端々に表れるペルシア語によるルバーイイ(四行詩) を謳った。この四行詩が詩人としても高い評価を得た。そして、このルバーイイ(四行詩)を集めた作品集は『ルバイヤート』として、故地イランのみならず、各国で翻訳され出版されている
下の画像がウマルハイヤームによる、ペルシア語の四行詩
② ジャラーリー暦
現在のイランで用いられているイラン暦の元になっているジャラーリー暦 これを生み出した人物の一人であるのが、もちろんウマルハイヤームであるが、これは彼の天文学者としての側面である。
ウマル・ハイヤームらは、一年の長さを 365.24219858156 日と計算し、これを元に暦を制定した。グレゴリオ暦に比べて非常に精度が高く、誤差は5000年ごとに1日とされている。これに対して、グレゴリオ暦は3300年に1日の誤差となる。ちなみに、ハイヤームが計算した値は小数第六位まで正確であったという。
③ 非ユークリッド幾何学の礎
数学の世界にはユークリッド幾何学とそれと同じくらい大事になる非ユークリッド幾何学がある ウマルハイヤームは、放物線と円のあいだの交点によって三次方程式を解く方法を考案した。この解法はギリシャの数学者も試みていたが、ハイヤームはこれを一般化した。(数学ではこの一般化というのが極めて重要) また、ハイヤームは二項展開を発見した。これに加え、ギリシャの数学者エウクレイデスの平行線の理論に対する批判書を著し、これが欧州に伝わったことにより非ユークリッド幾何学の発展したとされる
④ イスラム教に反する哲学
イランといえばイスラームのイメージがあると思う セルジューク朝はイスラーム圏であったため、宗教的信仰を行わなくてはならなかった。イスラームでは唯一神アラーを信仰する。ハイヤームは、イスラームに対して、すべての個別の出来事や現象が神的な介在の結果であるという見解には異議を唱えていた。神の存在を信じていたかどうかに限らず、周りがイスラームを信仰する中で科学者としての態度を持っていたということである。当時、民主主義や自由主義といった現代には常識とも思える思想はない。その中で、周りが一つの宗教、思想に染まってる中で、自分の思想哲学を語れたのは実に素晴らしい事であろう
まとめ
今回はかつてのペルシャの科学者ウマルハイヤームを紹介した。
今回紹介したように現代の科学や数学の考え方の基盤を造ったのはヨーロッパではなく、今は時代遅れとされるイスラーム圏のアラブであることを知らない人は多いと感じる
今後も実用世界史シリーズをよろしくお願いします
ありがとうございました Thank you for reading my essay!
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