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人生を豊かにするプレイフルシンキング

誰かに何かを頼まれたとき、例えば上司に「新しい仕事」を任せられたとき、もしくは受験などの人生の課題に直面したとき、あなたは次のうちどちらを自らに問いかけるでしょうか?

Can I do? 「できるかな?」
How can I do? 「どうすればできるかな?」

前者は「自分ができるかどうか」に焦点が当てられています。後者はできるかどうかではなく「どのようにするか=方法」に焦点が当てられています。私たちの人生をより豊かにするのはどちらでしょうか。

あなたは今していることが「楽しい」と言えるか?

社会人なら今している仕事、学生なら今している勉強を「楽しい」と、どのくらいの人が言えるでしょうか?

でももしかしたら、それに対し、あなたはこのように言うかもしれない。

仕事(もしくは勉強)なんておもしろくなくて当然だ

確かに、おもしろくない仕事は山のようにあるかもしれません。また会社では好きな仕事ばかり担当できるわけではないし、嫌いな仕事だからと言って、好きな仕事に変えてもらえるわけでもないでしょう。しかし

あなたがその仕事を「おもしろくない」と感じているだけであって、「おもしろくない仕事」が存在するわけではない。

すべては「見え方の問題」であり、見方を変えればもしかすればおもしろい瞬間が見つかるかもしれない。いずれにせよ、見方を変えるために自分が意味付けを施していることに気づかなければ、何も変わらないでしょう。

プレイフルを阻害する心のあり方

人の心のあり方について研究してきた認知心理学者のキャロル・ドゥエックは「Can I do?」と「How can I do?」の二つのタイプには、自分の能力や成長に対するイメージとして、大きな違いがあるとしています。

変化を恐れる人は、「努力しても自分は変わらないのではないか」と思い、変化を楽しめる人は、「努力すれば自分はいくらでも変われる」と思う傾向がある。

こうした価値観の違いが、その人の感情や行動パターンに大きく影響しているというのです。

そして、ドゥエックはそうした自分は変われないとする心のあり方を「フィックストマインドセット(Fixed-mindset)」自分は変われるとする心のあり方を「グロウスマインドセット(growth-mindset)」と呼んでいます。

人がプレイフルであることを阻害しているのは、自分が変わっていけるという予感をあまりもつことができない、硬直した心のあり方なのです。

固定的知能観VS成長的知能観

ドゥエックが着目したのは「知能観」、つまり知能や能力についてその人が抱いている考え方です。フィックストマインドセットの人は、「知能とは生まれつきのもので、努力しても変わらない」とする「固定的知能観」を持つ傾向がある。これは、頭の中に知能という実体があり、それは変化しない固定的なものだという据え方です。

その対極にあるのが、「成長的知能観」です。グロウスマインドセットの人に見られる知能観で、「知能は努力すれば伸びる」とする考え方です。知能とは実体として頭の中に存在するものではなく、問題を解決するための手段や道具であり、努力すればどんどん磨かれるものだと思っています。
成長的知能観を持つ人は、今日よりも明日、明日よりも明後日の方が知能は伸びることを知っているので、新しいことにも果敢に挑戦できます。変化や挑戦こそが、自分の能力を伸ばしたり、自分の新たな可能性を見つけていく絶好のチャンスだと思っているのです。

こうしたマインドセットの違いは生まれつきのものでしょうか。
私たちが子どもの頃、町や学校で見るもの触れるものすべてが新鮮で、驚きと発見に満ちていたはずです。しかし、大人になるにつれて、いくつもの経験を重ね、スマートに生きる術を知った代わりに、そのようなキラキラした好奇心や探求心を忘れてしまった。そして、いつの間にかプレイフルな存在では無くなってしまったのです。つまり、成長する過程でいずれかのマインドセットを獲得し、それぞれのマインドセットの論理で世の中を見て、感じて行動しているのです。

自分の思考を自由にする「メタ認知」

プレイフルシンキングを働かせる、そのためには、まず、物事を固定的に据えがちなあなたの思考を、自由に解き放つ必要があります。見方を変えることで世の中が違って見えてくれば、あなたの感じ方や考え方が変わってくるはずです。その鍵となるのが、「メタ認知能力」です。「メタ」という言葉には、「高次の」という意味があり、「メタ認知」とは物事を俯瞰したり、多角的な視点から眺めてみることです。

例えば、隣の席の同僚が大層悩んでいるので話を聞いてみると、あなたは「それほど悩むようなことではないな」と思う。当事者である本人は細かいことが気になり、状況を的確に把握できないが、当事者でないあなたは、同僚が置かれている状況を冷静に眺めることができるのです。このような状況を客観的に眺める視点が「メタ認知」です。

自分の状況下においてもメタ認知してみることで、自分を取り巻く環境を冷静に把握し、状況に応じて振る舞いを変えていけるようになります。そして、自分や自分を取り巻く状況がよく見えるようになり、自分の可能性にも気づくことになり、そこでなんとなく見通しが立てば、「それならやってみよう」とやる気もわいてくるものです。

働いていれば上司に叱られて落ち込むこともあるし、やる気のない部下にイライラすることもあるでしょう。
僕たちは、日常生活でいろいろな環境や状況に左右されながら、さまざまな感情を抱いて生きています。だから、いつもワクワクドキドキ、プレイフルでいることが、必ずしもふさわしいことではありません。だからこそ、メタ認知を使って、プレイフルな心の状態を取り戻すことが大切なのです。
気持ちが落ち込んでいるときでも、そんな自分の感情を冷静に据え、いまこの状況では、どう振る舞うべきか考えて、状況に応じてベストな行動を選択する。それを可能にするのがメタ認知です。

Everything is situated. (すべては状況のなかにある) 

続きはぜひ本書で!

▼まとめた本

プレイフルシンキング ~仕事を楽しくする思考法~
上田 信行

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