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ロードバイク 初転倒(落車)!

やっといい天気になった。
では、ロードバイクに乗ろう。いざ出陣。
と勇んで、出かけた。(本当は少し億劫だったが、そこは気合。)

時は、今を去ること数日前、日曜日の早朝。
今回は、少し本格的に走ってみようと、近くの自転車専用道を目指すことにした。

先回の初乗りの時の経験から、寒さ対策には万全を期した。スポーツウエアの上に、ウインドブレーカー、その上に厚い防寒着。首にはマフラー代わりに、手拭いをしっかり巻いた。

下は、・・・
バイク用は、短パンしかない。
まあ、トレーニングも、年がら年中短パンでやっているし、寒ければ一生懸命バイクを漕げば、暖かくなるだろう。

防寒着まで着ているので、上半身は寒くないが、手袋をしていても指先が冷たい。
そりゃそうだ。
久しぶりに天気が回復したと言っても、北陸の2月の初めだ。
寒い!

昨日まで降っていた雨が、ところどころに小さな水溜りを作り、その上に薄く氷が張っている。
国道沿いの歩道には、まだ少し雪が残っているところがある。その雪が、バリバリに凍っている。

バイクの細いタイヤで乗り入れると、ハンドルを取られそうになった。
この段階で、嫌な予感がしてきた。

雪を避けながら、慎重に歩道を乗り進む。
交差点に差し掛かった。
交差点周辺は街路樹が繁り、日陰になっている。数メートル先から、全面雪だ。
凍っている。

ヤバイ。
ここは、降りてバイクを引いて歩いて渡ろう。
で、止まろうとしてブレーキをかけた。

ん・*▼◇?!・・・ぶっ、ブレーキが効かない!
力いっぱい握っているのに、全然止まらない。

いや、ブレーキに指が届いていない。
何?、なんだ、何が起きた??!

バイクは、全く減速せず、スルスルと交差点に入って行こうとする。

やむを得ぬ。
バイクを左に傾け、左足を地面に着け、ハンドルを左に大きく切り、その左足を支点にして円を描くようにして、止めた。・・・

なんてことができたらよかったんだが、そうはいかなかった。
地面に左足を着けるまではしたが、ハンドルも切れず、バイクは脚を引きずって直進。バランスを崩し、無様に転倒!

砂と小石が混じった、凍った雪の上に、左膝あたりから崩れ落ちるように転んで止まった。
ギリギリ、交差点に進入する手前だった。

日曜の早朝とはいえ、すでに車の量は増えている。
カーブした先の交差点だから、そんなにスピードを出している車はなかったが、それでも、予期せぬバイクがふらふらと出てきたら、ぶつかるだろう。

ちょっと痛い、ですめばいいが、少なくとも新品のバイクは、成仏する可能性がある。別に、体よりバイクが大事なわけではもちろんないが。

ま、そんな事態にはならなかったが、無様な格好をドライバーに見られて恥ずかしかった。

多少のパニックとともに起き上がり、違和感を覚える左膝あたりを見ると、数箇所から出血していた。
まあ、凍結しガラスのようになった雪と砂が混じった路面をむき出しの左足一本で滑ったのだ。当然といえば当然の負傷。

さてどうしようかと思ったが、骨折している様子もないし、大量出血しているわけでもないと・・・その時は思った。

それより、なぜこんなことになったのか。
ブレーキがかからなかった。
正確にいえば、ブレーキをかけていなかった。

どういうことか。
急ブレーキをかける時、どうするだろうか。
しっかりブレーキレバーを握るだろう。

しかし、ロードバイクはブレーキレバーを握れないのだ。
どういうことかというと、
普通の自転車のブレーキは、こうなっている。

握ったハンドルの親指以外の指を開けば、ブレーキレバーに届き、それを握ればいい。

しかし、ロードバイクのブレーキは、こうだ。

握ったハンドルの指を開いても、ブレーキレバーに届かないのだ。人差し指、中指そしてギリギリ薬指が届くか届かないか。

握るという動作は、手の小指側を使う。
もちろん小指だけを使うわけではないが、小指を使わないと力が入らない。やってみればすぐわかる。

人差し指や中指では、握るというよりつまむという感じになる。

握るじゃなく摘むですぞ。
そんなんで、しっかりブレーキをかけられると思うだろうか。無理でしょう、というのが普通の感覚だと思う。

しかし、ロードバイクは、これで事足りるのです。
と言っても、私は全速に近いスピードで急ブレーキをかけたことがないので、断言するのには躊躇するのだが、大丈夫なのだそうです。

実際試してないので確たることは言えないが、人差し指一本でも、少なくとも、人差し指と中指の2本で十分なようだ。

どうして?
そのように作ってあるとしか言えない。
大体ブレーキ自体も、車と同じディスクブレーキになっている。(そうでないのもあるが。)

ここらあたりも、自転車とバイクの大きな違いだろう。

今回の問題は、このバイクの仕様と私の自転車に対する経験、そこからくる体に染み込んだ思い込みとの齟齬が原因だった。

握らねばブレーキは効かぬ、握るためには小指側の指をメインに使わなければならないと、脊髄反射が起きたのだ。

だから、ブレーキのないハンドル部分を力一杯握りしめ、制動が効くはずのバイクが、全く言うことを聞いてくれず、交差点に突入するという運命が圧倒的力で押し寄せてくるのを、唖然・茫然・驚愕の面持ちで、なす術もなく見ていたのだ。

こりゃ、長距離の乗り方や何のと言う前に、ブレーキの掛け方、掛け具合を徹底的に体に覚えこまさなければならんなと思ったものだ。

走るのは、いつでも止まることができると言う前提で成り立っているのだから。

その後、川沿いの自転車道を往復した。16Km程だ。
自転車道は、前日までの雪と雨で、ところどころ水溜りがあったり濡れていた。

そして、そこが・・・薄く凍結していた
バイクを降りて歩いてみると滑る。
おまけに、少し傾斜している。

そんな所をバイクで走る。
怖ぇ〜〜〜▼◇※?!

青く晴れ上がった五月の空の下を風を切って、颯爽と走り抜けるロードバイクの爽やかさ・・・なんて風情は微塵もない。

転倒の恐怖とブレーキ操作がうまくできないかもしれないと言う緊張感、それと寒さ。

上半身は完全防寒に近いし、脚はペダルを漕ぐので問題はなかったが、手袋をしていても指先が凍えて感覚がなくなっていた。

往復16kmある自転車道を最低5往復するつもりだったが、1往復終えた段階で、心が折れた。
今日は、これで帰ろう。

結局、2時間ちょっとで、帰宅した。
脚を見て驚いた。

左足の膝上、膝下周辺から、靴下を履いた足首近くまで、どす黒い血の帯が数本張り付いている。

痛みをあまり感じなかったで忘れていたが、かなり出血が続いたようだ。

それが、バイクで走ることによって、一部乾燥しながらその上を新しい血が流れ、氷柱か鍾乳石のように厚みのある帯になったようだ。

その太さ、小指の半分、厚さ5mm程。
ちょっと見には、大怪我だ。
私のロードバイク初転倒(落車)は、こうやって血の帯とともに記憶に残ることになった。











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