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三角形の銀河

我々が、銀河というと、下図のような楕円銀河

あるいは、渦巻銀河を思い浮かべると思う。

しかし、この銀河は、見ての通り三角形をしている。

https://esahubble.org/news/heic2201/

この銀河は、Arp143系と呼ばれるものです。
このArpというのは、天文学者ハルトン・アープが1966年に出版した338個の特異な相互作用銀河を集めた「特異銀河アトラス」に掲載された143番目という意味です。

つまり、ハルトン・アープ博士は、渦巻銀河や、楕円銀河の様な、一般的に見られる銀河以外の、特異な形の銀河カタログを作ったのです。

なぜ、そんなことをしたかというと、こういう特異な形をとっている銀河を調べることによって、銀河がどの様に進化するのかを研究するためだったのです。

Arp143 は、右側の歪んだ星形成渦巻き銀河 NGC 2445 (三角形の銀河)と、左側のあまり派手でない伴銀河 NGC 2444 (薄ぼんやりしている)が、お互いに影響し合って、この様な特異な形をとっている様子がわかる。

右側の、NGC 2445 (三角形の銀河)では、青く輝く部分が目立つが、これは、ここで猛烈な星の形成が行われていることを示している。

鮮やかな青の部分は、星集まりだが、ピンクの部分は、若くて巨大な星団を包む光り輝くガス雲です。

同じく二つの銀河が、互いに影響し合っているのに、片方の銀河(右側のNGC 2445)では、猛烈な星の誕生が起こっているのに、左側のNGC 2444銀河では、この様な星の形成は起きていない。

これは、右側の銀河には、星の原料になるガスが大量に存在するのに、左側の銀河は、古い星が多く、この様なガスを使い果たして存在しなくなっていることが原因だと考えれるのです。

二つの銀河の間を橋渡しするように、青い三角形ができているが、これらの星は、5000万年から1億年前に生まれたと推定されている。
宇宙基準で考えると、ごく最近できた星だということだ。

この二つの銀河は、ゆっくりと離れていっているので、この橋渡しをしている様に見える、星々は、将来取り残される可能性があると考えられている。

もう一つ、興味深い点は、右側の活発に星形成がされている銀河の中心部。
ここには、明るい中心部に暗いガスがフィラメント状にある。

これは何か。
これは、何かが爆発したことによって、作られた可能性がある。
電波望遠鏡の観測によると、ここには強力な電波源があり、激しい星形成によるか、ブラックホールが中心部に流れ込む物質を飲み込んでいる可能性があるとのこと。

このように、アープ143系を観測することによって、天文学者は、星の形成速度、星の形成にかかる時間、NGC2445 (左のぼんやりした銀河)の星形成が衰退しているのか、それとも加熱しているのか、などを明らかにしよとしているのです。

なんか、楽しそうな仕事だなあ。

下のリンクに、Arp143系へのズーム画像があります。
これも、見応えがありますよ。


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