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夜空に星のない世界

夜空を見上げると、無数の星が目に入る。
そして、その美しさに、しばし心を奪われる。
我々のよく経験することだ。

ところで、なぜ夜空に、あんなにたくさんの星が見えるのだろうか。
なぜって、宇宙には星がいっぱいあるからだ。
子供でも知っている常識だ。と言われるかもしれない。

確かに、我々の天の川銀河には、数千億個の星がある。
そして、銀河そのものは、これまた数千億個あると言われる。
だから、宇宙には星がいっぱいあるというのは、間違っていない。

しかしだ、我々は、その宇宙にいっぱいある星を見ているのか。
もっと言えば、見えているのか。

実は見えていない。
・・・・・・
なにを面倒臭いことを言っているのか、と思うだろう。

他の銀河の星は見えていない、・・・のだ。
例えば、我々の天の川銀河に一番近い、アンドロメダ銀河。

https://apod.nasa.gov/apod/ap220119.html

地球から、250万光年先にある、直径22万光年、1兆個の星が含まれると言われる美しい銀河だ。

https://apod.nasa.gov/apod/ap201125.html

肉眼では、満月の5倍ほどの大きさに見える、・・・
はずなのだが、ほとんどの人は見たことがないと思う。
私はない。

写真のように、明るくないからだ。
見えたとしても、ぼんやりとしか見えない。
ましてや、アンドロメダ銀河に含まれる、星の一つ一つを見ることなどできない。

我々は、他の銀河の星は見えないし、見ていない。
我々が見ている、夜空にきらめく星は、全て、天の川銀河の星なのだ。
あるいは、星に見える、他の銀河の姿だ。

では、もし、太陽が(ということは地球が)、銀河の中になく、銀河と銀河の間の空間(我々には、なにもない空間に見えている)にあったら、夜空の風景はどんな風になるだろうか。

それが、下のイラスト。

https://apod.nasa.gov/apod/ap970203.html

赤色巨星に照らされ、赤く染まった大地から空を見上げると、暗い夜空にきらめく星はない。見えるのは、おぼろげなおとめ座銀河団の銀河の姿だけ。
なんとも裏寂しい光景だ。

このイラストは、全くの空想のものではない。

おとめ座銀河団は、銀河が2000個程、群をなしているところ。
下の写真が、その一部。
星に見えるものは、すべて銀河!。

おとめ座銀河団は、おとめ座超銀河団の中核をなし、我々の天の川銀河やアンドロメダ銀河が属する、局所銀河群は、おとめ座超銀河団の端のほうにある。

https://apod.nasa.gov/apod/ap201010.html

天文学者が、この銀河団を調べているときに、銀河間空間に600個程の赤色巨星を発見したのだ。
これらの赤色巨星は、どの銀河にも属せず、宇宙空間を漂流している。
おそらく、遠い昔、銀河と銀河が衝突した時に、元の銀河から弾き飛ばされたものだろうと、考えられている。

まさに、この銀河空間を漂流する、赤色巨星の惑星上から見上げる空は、こんな風なのだ。

我々が、いつ空を見ても星が見えるのは、天の川銀河の腕の中にいるからだ。腕の中(星の集団)の中にいるから、どちらを向いても星が見えるの
だ。

ウィキペディア(Wikipedia)
https://plaza.rakuten.co.jp/aabckenfuji/diary/201406190000/


もし、我々の地球が、天の川銀河の腕の一番外にでもあったら、我々から見て、太陽が天の川銀河の中心方向にある季節の夜空には(昼は明るくて星は見えない)、星が見えないことになるのだ。

そう思うと、今、我々の地球が天の川銀河の中で置かれている状況は、実にラッキー、ありがたいことだと思う。

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