アンドロメダ銀河を取り巻く雲
これがアンドロメダ銀河を写したものであると言われても、えっ?となると思う。
アンドロメダ銀河の周りに、こんな雲があるのをみた事がないと思う。
なんだイラストかと思うかもしれない。
いやいや、実写です。
実はこの写真、電離水素原子が放射するHα線という波長の光に対するフィルターをかけて撮ってある。
つまり、Hα線の波長の光によって見ているのです。
Hα線というのは、波長656.3nmという、我々の目には赤に見える光です。
具体的に言えば、赤外線写真を思い浮かべればいい。
赤外線写真は、赤外線で物を写しているの(物から出る赤外線を集めている)だが、これは、Hα線で写している。
ほうそうか、でも赤なら普通に撮ったら写るんじゃないと思うだろう。
写るんです。本当は。
しかし、このHα線というのは、電離水素原子がその電子の軌道位置を変えた時に出る光なのです。
宇宙空間にある水素原子が少ないので、その放射する光も少ない。とても微かな光とでも思えばいい。だから、普通は気づかない。
しかし、この波長の光だけを望遠鏡で集めれば、このように見えるというわけです。(この説明で合ってると思うのだが。)
ということで、もう一度写真を見てみよう。
アンドロメダ銀河本体には、ピンク色の光が宝石のように散らばっている。電離水素原子がたくさん集まっているところだ。
周辺の赤い雲がアンドロメダ銀河の周囲を取り囲んでいる水素原子の分布している様子。
ほほう、すごく沢山あるんだなあ、なんて思う。
実際は、極めて薄く分布しているということだと思うが。
ところで、左の緑色は何か。
これは、電離酸素原子が放射している光だ。
そうか、アンドロメダ銀河の周りには、水素原子の他に酸素原子がこのように、集まっているところがあるのだなと思う。
しかし、そうとも言えないという。
なぜなら、同じような条件で以前に撮った写真には、この緑の雲が写っていないのです。
そこで、これは、アンドロメダ銀河のものなのか、あるいは、我々の天の川銀河のものなのか、なんて議論になっているそうです。
ちなみに、この写真は、アマチュアの天文学者によって撮影されたもの。
アマチュアだと言って、軽んじてはいけない。
天文学の世界では、アマチュアが数々の発見をしているのです。
例えば、はくちょう座Aと言われる電波銀河を発見したのも、アマチュア天文学者です。
この発見によって、電波天文学という学問領域が生まれたとも言えるのです。
他にも、彗星や新星、変光星や太陽系外惑星の発見等々枚挙にいとまがない。
斯様に、天文学では、アマチュアが大きな貢献をしているのであります。
天文学は基礎理論はもちろん、観測データも公表されているらしいし、観測装置(望遠鏡等)も年々いいものができている。そもそも、宇宙は誰のものでもない。
だから、誰でも自由に研究し、思いっきり想像力を働かせ、想いを馳せてらせることができるのが、宇宙だとも言えるのであります。
以上
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