オーロラのようでオーロラではない
オーロラの周りを取り囲んでいる赤いハローは、何であるか。えっ、それもオーロラじゃないの。
違うのです。
SARs(Stable Auroral Red arcs)と言います。
直訳すると「安定したオーロラの赤い円弧」ですな。
やはり、オーロラじゃないか。
違うのです。1956年、最初にこれを見つけた時、研究者たちはこれが何であるか分からず、誤解を招く名前をつけてしまったのです。
実際のところ、SARsは、Stable(安定)もしていなく、オーロラでもないのです。
確かにオーロラほどには、SARsは変化しない。
しかし、それはオーロラに比べて変化しないと言うだけで、少し観察していると変化しているのがわかる。
尚且つ、SARsはそのでき方がオーロラと違う。
オーロラは、太陽から飛来する荷電粒子が地球の大気を構成している原子と衝突することによって、その原子が光を放つ。
しかし、SARsは、リングカレント(ring current:環電流)が上層大気にエネルギーを与え、そのエネルギーを与えられた原子(酸素原子)が発光するというメカニズムをとる。
リングカレントは、上の図のように、2-6 Re(地球半径の2から6倍)の内部磁気圏と呼ばれる宇宙空間中を流れている地球をとりまく巨大な電流である。
と言っても、みてわかるように導体(鉄や銅、あるいは塩を溶かした水溶液など)の中を電流が流れているわけではない。
地球磁場に捕捉され荷電粒子が、宇宙空間中を運動しているのです。ちなみにカレント(current)とは電流のこと。
このリングカレントが、太陽風の影響等で地球大気の上層部まで降りてきて、酸素原子を発光させるのです。
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