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ブラックホール

銀河が衝突しても、銀河を形作っている恒星同士は、滅多に衝突しないという記事を書いた。
そうしたら、ブラックホールなんかは重力が強うそうだから、互いに引き合って衝突するんじゃないかと、疑問が出された。

ブラックホールの衝突合体。
ありそうだけど、実際はどうなんだろう。

ブラックホールと聞くと、なんでも吸い込まれてしまう不気味で巨大な暗黒の穴を思い浮かべる。
その重力に関しても、かなり広大な範囲に及んでいるような感じがしているのではなかろうか。

そこで、ブラックホールの重力というのは、どの程度なのか、ちょっと計算してみた。

重力というのは、質量に比例し距離の二乗に反比例する。
我々の天の川銀河の中心には、太陽の400万倍の質量を持つブラックホールがあることがわかっている。

このブラックホールの重力はどの程度なのだろうか。
太陽の重力と比較してみる。
もちろん、太陽の400万倍ある。

しかし、太陽の400万倍の重力とは、一体どの程度なのか、イメージがわかない。

そこで、太陽が地球に及ぼす重力と同じ強さの重力は、このブラックホールからどれ位離れたところで働くのか考えてみる。

太陽の質量 : 1
ブラックホールの質量 4,000,000
太陽地球間の距離 1au  (天文単位:地球太陽間の距離を1auという)
ブラックホールの重力が、太陽と地球間の重力と同じになる距離 x au

4,000,000 / x^2 = 1 となる。
x = 2,000 au

つまり、太陽の質量の4,000,000倍のブラックホールが太陽の位置にあった場合、重力の強さが、太陽が地球に及ぼす重力と同じになるのは、地球が今の位置より2000倍遠くにあればいいことになる。

この2000天文単位が、大きいと思う小さいと思うかだ。

太陽から
地球までの距離は1天文単位
火星までの距離は1.5天文単位
木星までの距離は5天文単位
土星までは10天文単位
天王星までは20天文単位
海王星までは30天文単位
冥王星までは40天文単位
ボイジャー1号までは159天文単位

これからみると、確かに2000天文単位というのは、遠い。
冥王星までの距離の50倍ある。

ここで太陽に一番近いところにある、ケンタウルス座α星までの距離と比べてみる。

ケンタウルス座α星までは、4.3光年ある。
1光年 = 63241.1 天文単位だ。
4.3 光年 = 271,936.73 天文単位
約27,1000天文単位だ。
約272,000天文単位だ。
27,1000 / 2000 = 135.5
272,000/2000 = 136
つまり、ケンタウルス座α星までの距離の約136分の1だ。

逆言えば、ケンタウルス座α星の距離にある恒星に及ぼす重力は、135^2分の1、すなわち18,225分の1となる。
は、136^2分の1、すなわち18,496分の1となる。

う〜ん、どうなんだろう。
大したことないとも、いや、すごいとも言える。
何せ、太陽の400万倍の質量のブラックホールなんだから。

上の計算は、ブラックホールを点として考えている。もちろん、実態は点ではない。

天体(球体)の表面の重力を考えると、同じ半径であれば質量の大きい方が重力は大きくなる。
また、質量が同じなら、半径が小さい方が重力は大きい。

ブラックホールの名前の由来である、重力が強すぎて、その表面から光さえも出てくることができない球体の半径をシュバルツシルト半径という。

このシュバルツシルト半径の内側が、ブラックホールの領域であり、ブラックホールの質量の大きさに比例して大きくなる。

では、どのくらいの質量のものが、どれくらいの半径を持つのか、調べてみた。

地球    6×10^24Kg   0.9mm
太陽    2×10^30Kg    3Km
白色矮星  約太陽質量    3Km
中性子星  約2太陽質量   6Km
恒星ブラックホール 10太陽質量 30Km
巨大ブラックホール 1億太陽質量 2天文単位

ちなみに、
銀河中心部のブラックホールは、
400万太陽質量 1,200万Km。
太陽の半径 696,340 kmだから、太陽の約17倍の大きさ。水星の太陽からの距離5791万Kmの約5分の1の大きさとなる

ブラックホールは、太陽の3倍以上の質量の恒星がその生涯の最後に取る姿だとされる。
仮に太陽の3倍の質量の恒星だとすると、半径9Km、直径18Kmのブラックホールができることになる。

どうだろう、意外と小さい感じがしないだろうか。

ところで、太陽より3倍以上の質量がある恒星がブラックホールになるとすると、この宇宙にはたくさんブラックホールがありそうではないか。

そうなのです。
我が天の川銀内でも、100万個から10億個くらいのブラックホールがあると推測されているのだとか。

えっ、そんなにあったら、いつブラックホールと衝突するかわからないじゃないか、と心配になってくるかもしれない。

ここで思い出せばいい。
恒星間の距離だ。
一番近いケンタウルス座α星で4.3光年!

そうなのだ、ブラックホールも元は恒星。
少なくとも同じ位の距離は、あるだろうから滅多なことは起きない・・・・だろう。


https://www.space.com/15421-black-holes-facts-formation-discovery-sdcmp.html#section-black-hole-images




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