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銀河のバトル

NGC 3314

横たわっている渦巻銀河に、車輪型の銀河が突撃している・・・ように見えるこの写真。

https://apod.nasa.gov/apod/ap211117.html

手前の車輪銀河は、NGC 3314a,後ろはNGC 3314bと名付けられた銀河です。前の銀河は、1億1千万光年,後ろの銀河は1億4千万光年の位置にあります。

つまり、二つの銀河は、3千万光年離れているのです。
それが、あたかも、衝突しているように見えるのは、たまたま、地球から見て、一直線上にある位置に、あるからこう見えるのです。

これだけ離れていると、お互いに重力の影響とかも及んでいません。
つまりは、お互いの銀河の形を変形させるようなことは起きていません。

ところで、銀河が一直線上に並んで見えると、重力レンズ効果で、後ろの銀河が歪んで見えるはずです。



しかし、見ての通り、後ろの銀河は歪んでいません。

はて、これはどうしたことか。
・・・・・・・

実は、歪んではいるのです。
しかし、その歪みが感じられないほど少ないのです。

なぜ?
それは、この銀河間の距離が短いから。

例えば、強い光を手元で1度角度を変えて照射しても、1m先では、ほどんど気付きません。しかし、1Km 先だと大きく照らされる地点が変わってくるのと同じことなのです。

手前の銀河によって、重力レンズ効果(重力によって空間が曲がる)は起きているのだが、その効果が如実に現れるくらいには、二つの銀河の距離は遠くないのです。つまり、近すぎるのです。

なんと、、3千万光年の距離が短すぎる。

そうです。
重力レンズ効果が、はっきりわかるには、数十億光年の距離が必要なのです。

まあ、逆に言えば、それくらい、重力によって曲げられる空間の歪みというのは小さいとも言えますな。
(計算すれば、その曲がり具合はわかるのだろうけど、私にはできません。そのうちやってみましょう。







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