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「経営判断に必要な『人の動きと会計を結ぶ』コラム」 #001 3億円の売上があるのに、利益がほとんど出ません。どうしたらいいでしょうか?

あるコンテンツ制作会社の社長から聞かれた質問です。
この会社は、経理はしっかりしており、毎月会計事務所にも書類を提出し、月次の決算書ももらっていて、社長も確認をしていました。でも実際の事業の流れがこの月次のデータと結びついていないので、売上と費用と利益しか分からない状態です。

そこで、まず3つある事業それぞれの収支を出すところから始めました。そうすると主力事業が赤字になっていました。
そしてその中身をさらに細分化してプロジェクトごとに見ていくと、外注費が売上に対して異常に大きくなっているプロジェクトが赤字の原因になっていることが分かりました。

社長としては主力事業に営業活動も含めて力を入れてきたのに、結果が出ておらず、とてもショックを受けていました。
でも数字は過去の結果なので、これからどうするかを考える材料と考える必要があります。

ではその外注費を減らせればいいのですが、ただ「減らせ」と言っても減りません。どうして売上に対して大きすぎる外注費が発生したのかを、普段の社員の行動から見ていきます。

そうすると、社員としては悪気があるわけではなく、お客様に対応するために仕事をしているだけなので、自分たちが使いやすい外注先をチョイスして出しているだけです。でもそれだけだと自分たちが使いやすい外注先しか選びません。例えばスケジュールぎりぎりでも対応してくれる。説明をしっかりしなくても自分たちのやりたいことを理解してくれる外注先などを選びがちです。

その時も原因を調べると、スケジュール管理ができておらず、いつもぎりぎりに外注先に投げていたことが分かりました。
逆に外注費がしっかり押さえられているプロジェクトは、スケジュール管理もできており、案件によって外注先を使い分けており、そのことが仕事のクオリティも利益率も上がる原因となっていました。

各プロジェクトの数字が明確になり、毎月プロジェクトリーダー会議を開き、そうした成功事例を共有できたことで、各リーダーの意識が格段に変わってきました。
また社長が原因を理解できたことが大きいのです。

この会社は半年で2千万円ほど営業利益が増えました。
元々経理がしっかりしているので、数字が毎月しっかり出てきます。
会議が数字をもとに出来たことで、現場のリーダーが今ままで知らなかったからできなかったことができるようになりました。

数字と人の行動の因果関係がちゃんと抑えられるかどうかが、次のアクションや経営判断に大きく影響を及ぼします。

ただ単に細分化することが良いのではなく、人の行動に結びつく単位で見える化することがポイントとなります。


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