ベトナム2日目 後半
おじさんはお寺に連れてってくれた。
観光客も少なく、風情がある。
そのあと、謎のマーケットへ。
ここも観光客は全く見当たらない。当たりか?と思って、Tシャツや下着を購入。おじさんと店員さんがしきりに何か話している。掲示された値段はあまり安くなかった気もするが、めんどいのでホイホイ買ってしまう。
この市場の側にコーヒー豆の店があり、おじさんはそこに入っていった。私もついていく。
ジャスミンティーとベトナムコーヒーを試飲させていただく。美味しい。
なぜかおじさんのセールストークが始まる。
「ベトナムのコーヒーは偽物おおいねー」「けれどここはホンモノ」「トモダチ、カイシャ、いっぱい買ってくと喜ぶねー」
値段を尋ねると、全部で60万ドン(約3000円)ほど。安くはないが、まぁ、美味しかったからいいか。
店員さんがパッケージに包んでくれている間におじさんから、少し話を聞く。おじさんには9歳と7歳の娘がいるらしい。おじさんの見た目からすると、随分と若い家族に感じる。孫の年齢でもおかしくない風貌だ。
店員さんがパッケージに包み終わり、再度値段を見せてくる。
300万ドン(約15,000円)
おぉ、これは随分ぼってくる。メモ用紙に書かれた明細には500グラムと書かれており、さっきの金額は100グラムの金額だったと言いたいようだ。
ちらりとおじさんの顔を見ると、藤子不二雄Aの漫画に出てくる悪い人のように見えてきた。しかし、よく見るとおじさんの顔は随分とシワが多く、おじいさんに近い。おそらく60代ではないか。随分若い家族もいる。おじさんがやっているこのボッタ業も、GRAB(ウーバーのような一般人の配車アプリ)の普及が進めば出来なくなるだろう。この先、どうするんだろうか。これまでどのように生きてきたのだろうか。
そんなことを考えていたら、おじさんはおじいさんにしか見えなくなり、藤子不二雄Aのキャラクターから、木版画に見えてきた。
私は素直に300万ドン支払った。ここに置いてかれるのも困るし。
「それじゃあ、ご飯食べて戻りましょーう」
おじいさんのバイクに2ケツし、フォーを食べにいく。
おじいさんは手を拭くこともなく、薬味の野菜をちぎって私のどんぶりに入れてくれた。
たははは…!む、むむっ!
う、うまいいっ!うますぎる!
こんなに美味いフォーは初めてだ。ここにくるまでで一番美味しい食事だった。ちなみに有名店らしい。
食べ終わって、ホテルに向かう中、しきりにエッチなお店を勧めてくる。
「気持ちいいーイコー。奥さんいないなら、行った方がいいよー」
コーヒーでぼられているのに、エッチなお店だったらどれぐらいぼられるのかわからない。それになんだか、そんな気分じゃないんだ。
別れしな、おじいさんに60万ドンに少しお釣りが出そうなぐらい支払うと、何も言わずに去ろうとする。私が「ありがとう」と伝えると、なんとも言えない顔をした。おじいさんは何を考えたのだろうか。何を感じたのだろうか。
疲れとスコールで午後はほとんどホテルで過ごした。うう、窓がないのは辛い。時間がわからん。天気もわからん。
ホテルの近所に北海道があった。私の知らない北海道だ。きの○やに似ている…。