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冒険譚『バナナがサーフィンするように』|あなたはどうしてここにいるの?編

何かが大きく変わるとき、私が聞いた言葉。
それは、

あなたどうしてここにいるの?

です。

変わり目のサインと言いたくなるような言葉。その言葉をキャッチしたら、早晩、波にさらわれてバナナがサーフィンするようにすすーっと沖へ出ることになっていました。

現状維持のために、多少の我慢や忍耐を自然にやってしまう人は多いのではないでしょうか。変化への抵抗が生命維持装置に備え付けられています。その抵抗は、様子見をしている期間と言い換えてもいいのだけれど。

周囲からの「あなたどうしてここにいるの?」が自然と耳に入り残るようになるのは、変化への様子見期間が満期になった証拠。前々から、言われていたかもしれないけれど、気がつかなかっただけで、耳がOKになれば環境が動き出します。動き出す前から、変化は始まっているということですね。その合図とともに、抵抗が激減するので力もいらず摩擦なく、行くべき方へ滑り出すのでしょう。


ある仕事で、担当したエリアでの求人をしたことがあります。

そのときどきに組んだ仲間と数字を積んだことで、予算が億単位にのぼるようになり、人を増やしてもいい状況になったからだったと思います。管轄のハローワークに書類を提出し、面接し採用しました。パート作用の前例は、そこそこ若い女性パートを採用しがちだった社内の風習とは異なり、私はリタイア組を採用しました。とても経験豊富な優秀な方でした。

よく、トラブルだらけの荒れきった場所だったり、マイナススタートの場所、そういうところを担当した時期がありました。そのエリアもその一つでした。取り合いになるほど魅力的な案件は、誰もがやりたがるのでそうは回ってきません。それはそうですよね。もともと、人混みより穴場が好きな方。面倒を抱え込みたくない面倒くさがりだけれど、欲望で混雑しているよりそっちの方がいいのかも。

「もう誰も欲しがらない」その場所で、「もう誰もやりたくない」といった内容のことを「好きにやってもやらなくてもいいよ?」という権利をもらいます。

ある場所では、どうなってもいいわけではないけれどそのエリアに関わりたくない人たちは口出しもしないから、0から1を作る独自の作業を展開できますし、数字が目立つまでは放置されます。でも、そんな場所ですから最初はクレームと掘り起こしと悪評だらけ。誰かが始末しなかったものだらけ。だから手助けもなし一人で淡々と進めるのですが、初期段階では誰からも足も引っ張られません。そして上手くいくと、いろいろ出てきて交代。これをエリア規模が少し大きくなりながら何回か繰り返しました。

トラブルだらけの荒れきった場所は、ちょっと錆び付いて汚れているけれど拭いて磨けば動くミシンみたいなものです。動けば何か綺麗に作れる。事務的なルーティンの仕事も大事だけれど、好きにやっていいならクリエイティブにやってみたい!と思って取り組みました。

漫画で見たのですが。それ専門の生業があるみたいですね。スパイのように企業に潜入し調査し動き回ってぶっ壊す「解体屋」と、反対に、荒地を蘇らせる「立て直し屋」があるみたいです。会社の内側には、そういう役割が必要になってしまう組織の澱がたまるのでしょうね。その道のプロを外注するストーリーでした。大なり小なりあるんだと、面白く読みました。

とかなんとかしているうちに、その担当したエリアで採用したパートさんから、

「あなたどうしてここにいるの?」



と言われました。
それがゴングのように響きました。

あっという間に、いろんな他の要因がモリモリ湧き上がってきて、知らないうちに私はその仕事から離れることになり環境が激変しました。なんのために採用したのかわからないというか、それを聞くために採用したのか?と思うほど。その時は、本人の意思もないままに、いつもの荒地から荒地への配置換えでは済まなかったのです。

冒険に出るときの船出は、いつも双方テープを持って岸を離れるわけではないようです。私は、人知れず波にさらわれてバナナがサーフィンするようにすすーっと沖へ出ることが多いです。それができるのは、その前から変化は始まっているからです。お知らせ天使みたいな人も出てくるし、次の岸がもうどこかにあるみたいに物事が動き出します。

変化の節目に選択肢はないと思っています。

2021/02/27修正・タイトル変更

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