見出し画像

恋愛|柔軟に好きな人を特別扱いする

公私の区別なく社交や愛想というのがあるという前提で、これまで何となくやってきたのに、相手には全くそれがない場合を何度か経験したことがあります。

たとえば、それは、渋谷のセンター街を通り抜けてLOFTへ行こうと歩いていたら順番に「ナシ」「ナシ」「論外」とかって、しゃがみこんでいる前髪長めの青年たちに品定めされてしまうような出来事です。もう、さすがにそういう出来事すらそれこそナイのですが、言われた頃は言われれば、少なからず腹を立てていました。

いきなり「メス扱い」ですもの。というか「女」という品面しか見ていない。そのうえで「ナシ」の部類に入れられる理不尽さ。不快じゃないわけないわけです。

でも、そういう品定めは永久不滅の部類の出来事。起きるときは言われる場所も言う年齢も関係ない。渋谷のみならず永田町でも起きるし、10代〜80代といった広範囲の口から出てくるのです。どう足掻いても一方的に言われる可能性はずっとあるし、そう言ってしまえる人の口に戸は立てられないと思います。隅っこで(家族の前だけで)言ってもらうことはできても。

これまでそうやって、その手のあからさまな態度を私は心のなかで全否定してきた。だけれど、急に物分かりが変わってきたのです。

というのも近頃、久しぶりに「ナシ」の部類に入れられました。態度や発言によって、あからさまにされる機会があって呆気に取られたのですが、「待てよ」と考え直したのです。つまり、彼らがそうしていることになぜ私は腹を立てるのかというと、自分と同じように社交や愛想を等しくふりまくことが礼儀だと思っているからです。

しかし、そもそも、その「自分と同じように」というのが土台ムリではないかと思うのです。遠い誰かに礼儀を求めること自体が難しいのかもと思います。礼儀とは、頭が自然と下がるようなものだと思うのですが、それは謙虚な気持ちが自発的に湧くからではないでしょうか。それを外から遠くから求めるなんて難しいことになってきているのです。そこにいる人を一方的に女として「ナシ」と口に出して言っている人には、この世に性別関係なくして誰かがいるから自分があると言った共存や共同の意識や感謝は少ないのでしょう。たとえば身内の母親や伴侶にすら感謝の言葉を伝えた経験が乏しいかもしれません。

それに、礼儀を全員に等しく要求する必要はないかと思うようになりました。つまり、自発的に湧かない気持ちをあれこれ慮るよりも、口先だけでも閉じてくれればいいのではないかと思うようになりました。

たとえば、道端で10代の青年に「ナシ」と今言われたら、その判断を間違いだと私も思わないのです。ただそれを伝えてくれなくていいだけです。言っていることを100%間違っているとは思わないのです。つまり、それを伝えてしまうからNGなのです。伝えてしまうのは社会性の問題です。

ルール感覚が異なる人というのは世界中にいて、そこが統一ではないというか、自分と完全一致ではないことに過敏に反応しなくていい。ただし、それが公人だと社会性を帯びた責任ある立場なので深刻な問題です。公人でないなら、犯罪や権利侵害のニュアンスが帯びないものであれば、ある限度を超えていないうちであれば、スルーでいいのです。だから私が道端の青年に「ナシ」と言われた瞬間に、それをそりゃそうだろうよと受けつつも、同類にはなりたくないから心のなかで「子供ネ」とかつぶやいても、言動になって表に出さない範囲ならば問題ないとするということです。

そうやって、礼儀を知らない10代の路上の青年を一人前の人として尊重して扱わないことが暗黙のうちになされていることを知っておいてほしいです。私なら、軽々しく「ナシ」と言ってしまった口から出るあらゆる言葉を軽んじていきます。

一方で、好きな人や大切な人を特別扱いしていいと思うのです。

やっぱり犯罪や誰かの権利を侵害してはいけないとは思っているのですが、そこまで行かない範囲であれば、過剰に平等や公平をかかげずに、大切にしたいと思った自分の気持ちを最優先で守っていいと思います。星の王子さまのバラはただのバラだけど特別のバラでした。

人と人との関わりは日々刻々と変化するものだけれど、臨機応変に、目の前の相手を見極めていくに越したことはありません。そして、特に関係ない相手だったら特に関係しないということ。あえて言わなくていいことは言わなくていいんじゃないかと思います。逆に、特別に関係あるようなら特別に関係するということ。それはちゃんといろいろ伝えたほうがいいということです。


先日レストランのレセプションで、担当の女性から「ご予約はされていますか?」と尋ねられました。その日は予約していなかったのだけれど、その質問に応える前に質問を重ねてしまった連れに対して、彼女が見るからに怪訝な顔をして不快感をあらわにしたのをみて、私は楽しみがなくなり、その場ですぐに帰りたくなりました。

彼女の態度から読み取れたのは、

・当店は基本的に予約なしでは入れません
・予約なしの場合はコース料理はご案内できません
・私の質問に答えなさい

上の2つは当然かもと思うけれど、3つ目がとにかく耐えられませんでした。質問に質問をするこちらもだけど、それに抗うレセプション担当にがっかりしました。どっちもどっちかもだとして、出直したくなるし何もそこじゃなくても別の予約必須の店に行きたくなるというか。

結局そこで食事をしたし、美味しかったし、最後はとてもサービスのいい対応をしていただきました。でも、そこがどんな店であったとしても、入口で楽しく食事ができなさそうなら、そこでは食べたくなくなるということです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?