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タイマー

今日、片付けをしていて、20年以上前に買った最初の冷蔵庫にくっつけて使っていた「タイマー」を発掘しました。無印良品の、裏に磁石が付いている杢グレー色のものです。冷蔵庫と同じ色。直径6センチ位の小さいものだから、引っ越しのとき捨ててはいないのに、どこに入り込んでいるのかわからなくなっていました。不便で、でも不便なまま何年も経ってしまいました。

新しいのを買えばいいのに。

買おうかなとは、何度も思いました。それでも、何となく買わないできたのは「アレがあるからなぁ」という存在感がそうさせました。ものすごくお気に入りでもないし、不便であることを必要なときに思い出す程度の必要性です。でも、見つかったときに、ちょっとふわっとするくらい嬉しかったのです。

電池は切れていました。くすんだ表面だったし、そこで「何だ、残念」って捨ててもおかしくないのに、わざわざ電池を買いに行きました。平たい、丸い、小さいのは買い置きがありませんでしたから、動くか確かめたくなって、すぐにそのためだけに買いに行きました。動くのを確かめたら、ピカピカにしました。

こういう、どうでもいい選択も、途中でたくさん分岐点があるのに、このタイマーは手元に残る方向で存在しています。まるで永久欠番のように、待たれている小品。さっぱりわかりません。探しても見つからない道具はあるし、知らないうちに捨ててしまっているもの、諦めて買い換えられてしまうものも捨てられているものもあるのに。

冷蔵庫が先に復活しているので、その扉に、明日の朝はりつけます。別の家で、別の新しい冷蔵庫もあるキッチンで。何年も段ボールの中で転がっていたのに定位置に戻るのです、明日には。


この記事の後編はこちらです。

追記:2020/09/10




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