【本】海の中でどんな音がするのかな
本屋さんでサイン本として
見つけて買った本
初めてのサイン本は
「本当に書いているんだ」と
単純な感想しかでないくらい
サインペンのインク文字だった
『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ 中公文庫
発売当初からずっと気になっていたけど
あらすじを読んでちょっと躊躇してた
自分の進みたい道に進めない
進みたい道ももうわからない
そんな登場人物たちの環境に
心をえぐられながら読んだ
彼らの周りに助けてくれる人がいたから
この本を読み進められた気がする
52ヘルツのクジラは
他のクジラには聞こえない
高い周波数で鳴く
世界に一頭だけのクジラ
届かない鳴き声は
うれしいも楽しいも
悲しいも助けても
誰にも届かないということか
このクジラは
聞こえる周波数も違うのかな
もしそうなら
本当に孤独だ
虐待とかDVとか
当事者の 助けて が外に届かず
外の 助けられるよ も当事者に届いていない
そんな状況はニュースでもよくみかける
人と人とのつながりが
細くなっているのもあるだろうけど
このクジラのように
感知できる周波数が違うのかもしれない
助けを求めている人の環境と
周りの人の環境が違いすぎると
その環境から助けが必要かどうかは
判断しにくいだろう
例えば家族の介護とかヤングケアラーとか
そんな生活があることは知っていても
それがどんな環境でどんな気持ちで
どんなことに困っていて
どんな助けが必要なのか
当事者でない私にはわからないことばかり
もしかしたら電車やバスで
隣に座っている人は
そんな人かもしれないけど
私から見ると
「疲れて寝ているな」
と思うだけの存在かもしれないし
そもそも気にもしないだろう
最近、地域の清掃作業に参加した
長年その場所で生活してきた人たちからすると
私はまだその地域では新しい人間で
よく知らない存在だと思う
それでも何かと声をかけてくれるし
私も声をかけたりもする
煩わしさがないとは言い切れないけど
困っていると助けてくれようとするし
私も地域のために作業することもある
民生委員の人はお年寄りの家庭を訪問したり
公民館に集合して体操教室を開いたり
食事会をしたりしている
そんな状況もあるといいんだろう
気づいてくれる人がいるかもしれないから
本のなかでもキナコと52を助ける
おばあちゃんが出てくる
地域のことなら何でも知ってる
情報通なおばあちゃん
私の地域のあの人だと
当てはめてしまう人がいる
そんな人物も社会的に必要なんだろう
この本を読んだ今ならそう思える
社会とか人とのつながりを持つために
他の人の環境や気持ちを知ることも
大切なことの一つだと思う
ズケズケと入っていくのは違うけど
ニュースになっているような問題には
関心をもって知るようにして
少しでも 助けて がわかるようになりたいなと思う