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東京ムカデ 第7話

第7話

もうみるみるうちに寄子の顔は、ユデダコの様になったが、気づくと「これ、私の番号です!」と言って携帯番号をメモに走り書きして渡してしまっていた。
「あ、はい、また連絡しますね」と言って育三郎はスタスタと出て言った。
女性は、ときに人が誰も想像もしないような大胆な行動に出る時がある。

寄子は頭が真っ白になった。

同時に例のお気に入りのノリの良いあの曲の
サビが頭の中を流れ始めた。軽く足でステップを踏みそうになるのを必死で抑え、 ヘナヘナヘナと倒れこむように自分の席に着いた。



パッと事務室を見渡すと、先ほどの外線電話の対応に必死な形相のるり子と、資料を作るのに集中しているであろう富田の眉間にシワの寄った目元が視界に入り、なんだかホッとした。


カフェラテでも飲もうと財布を持って自販機まで行こうとしたが、自分だけが大荒れの台風の中に身を置いているような、変な感覚でよろよろよろっとなってしまうのであった。

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