「エナジードリンクは足りなくなった」(切れはし小説shortscrap)

 エナジードリンクを体の中に流し込んで、思い切りため息をついた。
 こんなものをどれだけ飲んだところで、何も変わらないのはわかっていた。けれど、何かを体に入れずにはいられなかった。
 
 誰か私のために、心の栄養を補給するドリンクを作ってくれないだろうか。目の奥がズキズキと痛んで、これ以上動けそうにないのだ。
 会社をやめると心に決めてから、自分の時間がどんどん無駄になっていると感じている。こんなことしている暇はない、早く次の事を始めなければと、気持ちは焦るのに、体が動かない。
 負のスパイラルというやつで、私は行き場を失って、このまま頭がおかしくなったら、何もできなくなってしまうと思う。
 早く次の事を始めなければ、早くここからいなくならなければ、早く未来へ向かわなければ、早くここをやめなければ。
 
 早く、早く、誰か私の心のドリンクを作ってくれないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?