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【普通学 2ページ目】「普通」の割合は◯◯%!ざっくり計算してみたらこんなもんでした。

例えば0.49%。これはずいぶん前にわたしが3時間かけて推定した「わたしが一生涯においてハトのフンを頭に被弾する確率※1」ですが、(気になる方は補足をしておりますので本文末尾をご覧ください。)みなさんは「普通」ってどれぐらいの割合なものだと思いますか。普通っていうぐらいだから80%~90%ぐらい?もっと高くて98%ぐらいあったりして。

今回は「普通」の一例として、「普通の人生」を仮定して数字遊びをしてみたいと思います。

まず、わたしが高校生の頃に何となく思い描いていた「普通の人生」とはこういうものでした。

中学→高校→大学→正社員として就職(1社を勤め上げる)→20代で結婚→離婚せずに出産→80歳ぐらいで死亡

「いや、全然普通じゃないじゃん!」って思う方もいると思いますが、ちょっとこらえてください。ひとまず、わたしはこれが「普通」だと思っていたということで話を続けます。

高校生ヨノセコが思い描いた普通の人生を送る人は何%なのか。

ここからしばらく詳しい数字と計算のお話です。ちょっと苦手!という方は次の章へどうぞ。

さて、2016年度の学校基本調査によると、高校進学率は98.7%です。更に高校からの大学進学率は54.7%。文科省と厚生労働省の共同調査によると、2017年3月大学卒業者全体の就職率は72.9%ですが、3年以内離職率は31.9%。今回の「普通の人生」における「1社を勤め上げる」のを4年以上仕事をすること仮定するとその割合は68.1%。少し前のデータになりますが、2010年の国勢調査によると、少しサバ読んで30代前半までに結婚しているとすると、未婚率は34.5%ですので35歳までに結婚してるのは65.5%。未婚率については就業の有無を問わず対象女性全体に対する割合ですので、働く女性に絞るともう少し変わるかもしれませんが、ここはざっくりと、この割合はこの年代ならどんなタイプの女性にも当てはまると仮定します。ここ数年傾向が変わらないと仮定すると、ここまでの人生を送る人々の割合は、以下の通りです。

98.7%(高校進学) * 54.7%(大学進学) * 72.9%(就職) * 68.1%(4年以上勤務) * 65.5%(30代前半で結婚) ≒ 17.6%

ということで、ここまで詳しい数字と計算のお話でした。読んでくれた方ありがとう!

17.6%以下がわたしの「普通」だった。

調査した数字から計算した結果、わたしが中学生の時に想像していた「普通」の人生を送っているであろう人々の割合は「20代で結婚」までで既に「17.6%」となりました。※2えー。低っ!もうその後の条件入れたらどうなるんですかこれ。もし1クラス30人の学級で半分の15人が女子だったら2人か3人が「普通」の人生を送っている計算になりますね。ちなみに大学卒業後に進学をして、その後就職から2年強で退職したわたしはこのルートからはとっくに離脱しました

ええ、なぜこんなことになったんでしょうか。
そして、一体「普通」とは何なのでしょうか。

「普通」の定義

Googleの検索結果では以下のような定義が表示されます。

いつ、どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。

また、Wikipedia先生によると、

広く通用する状態であること

とのことです。なるほど。素晴らしい表現ですね。ここから「普通」を分解してみましょう。

1.「普通」とは他者との交流によって初めてわかるものである。

まず、“他と特に異なる性質を持っていないさま”
これは「普通というのは他と比べられ、同じであると承認されることによって初めて成立する」ということです。
つまり、この世の中にわたししかおらず、世界の中心で「イカとタコは同じではない!」と主張したとしても、これと同じことを言う人が存在しないので、普通と認定されないので、誰か認定してくれる他の人が必要ということです。

2.「普通」は真実である必要はなく、通用すればよいとされるものである。

次に、“広く通用する状態である”という表現です。
この表現はとても興味深いものがあります。何故かというと、これは「それが本質的に正しかろうと正しくなかろうと、広く通用するのであれば”普通”」ということを示唆しています。1+1は3だとみんなが思っていたら、それは「普通」になる訳ですね。なるほど。

そして、最後に付け加えたいのがこちら。

3.「普通」には有効範囲がある。

学校ではお菓子を食べてはいけないのは普通ですが、うちの会社はそんなことありません。何処かの普通が別の場所の普通と異なるということが見られるのは、「普通」が通じる範囲には境界があり、その外には「普通」が通用しない別の世界があるのです。(海外を考えるとわかりやすいですね。)

ということで、わたしの思う普通の定義はこちらです。

ある社会の中で広く通用する状態である物事

高校生ヨノセコが考えていた「普通」が日本社会の大多数を表すものではなかったといのには、2つの要因があります。
1つは「それが当時の小さな社会の中での普通」だったことです。わたしは進学校に在籍しておりまして、大学進学を希望する子が多い中で生活をしていました。特に女子高でしたので「大学に行って就職して結婚して…」ということを考える子が多く、その中でわたしの「普通」が形成されたのです。また、就職して1社を勤め上げるというのは、終身雇用の世代を大人としてみてきたからでしょうし、結婚のタイミングなんかは自分の親やドラマなんかの影響でしょう。(なので、ひょっとしたら当時の数字で計算するともう少し割合は大きくなるかもしれませんが、それでも50%以上にはならないのではと思います。)

もちろん、もう少し割合の高くなる「普通」もあると思います。今回の場合は、高校生ヨノセコの持っていた「普通」の適用範囲がとても狭かったことも要因かと思いますが、大事なのは「こんな割合の低いものでも普通と思っているものがある」ということなのではないかと思うんです。

だから、イカとタコは別物じゃんって社会だって時代を遡ったり世界中を探せばあると思うんです。ちなみに先日、オーストラリア人とアメリカ人と中国人と韓国人に「同じじゃん」「何が違うの」って言われて打ちひしがれましたが、わたしは諦めません。あ、もう1つの要因については、また別の機会に。

そういう訳で、次回は今回披露しました「普通」の定義から、「普通」がどのようにしてできて、広がるものなのか掘り下げて考えてみたいと思います。



----------------おまけ(注釈)----------------

※1:「わたしが生涯においてハトのフンを頭に被弾する確率」の計算過程
<仮定>
・犯人はドバト。
・飼育されている文鳥は放鳥時に20分に1回排泄する(ドバトの排泄頻度はこれと同じとする)
・ドバトは世界の陸地に平均的に分布する。
・人はドバトの排泄に気づいたとしても避けられないとする。
・日の出〜日の入りの時間を13時間とする。
・私は生涯を日本国内で過ごすものとする。
・うるう年は存在しないものとする。
・保健体育の時間の半分は外での授業とする。
・私の頭囲は幼稚園〜死ぬまで60cmとする。
・ドバトは私が生まれてから死ぬまで生息数が変動しないものとする。

いろいろ調べた結果は以下のとおり。
・世界には約2億6,000万羽のドバトが生息する。
・日本の陸地面積は世界の陸地面積の約0.25%。
・日本の面積は377,900平方km。
・ドバトの活動時間は日の出〜日の入りまで。
・頭囲は約60cmとする。
・日本人女性の平均年齢は86.61歳
・小学校の体育の時限数は1学年約100コマ。
・中学校、高校の保健体育の時限数は1学年105コマ。

ここに私の人生を振り返って以下の仮定を追加します。
・外出を始めるのは幼稚園に入ってからで、それより前は親の愛情などにより被弾しない。
・幼稚園児の頃、園内にいる間の外でのお遊戯時間は2時間/日とする。
・幼稚園、小学校の時の帰宅後の外遊びの時間を1時間/日とする。
・幼稚園、小学校の通園通学を片道10分、中学校以降を片道20分とする。
・幼稚園、小学校時代は休みの日も同じ程度外にいるものとする。
・小学校、中学校、高校は1コマ50分とする。
・小学校以降の体育の時間は半分が屋外での活動とする。
・中学校以降、部活に入部していたため帰宅は日没後とし、日没前の外出時間は通学時+体育(外の種目)に加え、20分/日とする。
・大学〜大学院の時に日没前に外にいる時間は通学時+1時間/日とする。
・大学院卒業以降に日没前に外にいる時間は退職後も(通勤を含めて)1時間/日とする。

<前提の計算:生涯における日没前の外での活動時間>
【幼稚園】
通園時間(往復)+お遊戯時間+外遊びの時間
=20分+2時間+1時間
=3時間20分/日

3時間20分/日*3年≒1,217時間

【小学校】
体育の時間以外に1年間で外にいる時間
=(通学時間往復+外遊びの時間)*365
=(20分+1時間)*365
≒608時間/年

1年間に体育で外にいる時間
=50分*100時限/2
≒42時間/年

(608時間+41.7時間)*6年≒3,898時間

【中学校〜高校】
体育の時間以外に1年間で外にいる時間
=(通学時間片道+20分)*365
=(20分+20分)*365
≒243時間/年

1年間に体育で外にいる時間
=50分*105時限/2
≒43.75時間/年

(243時間+43.75時間)*6年≒1271時間

【大学〜大学院】
(通学時片道+1時間)*365
=(20分+1時間)*365
=608時間/年

608時間*6年=3,648時間

【大学院卒業以降】
1時間*(86.61年-24年)
=62.61時間*365日
≒22,853時間

したがって、
生涯の日の出〜日没の外出時間
=1,217時間(幼稚園)+3,898時間(小学校)+1,271時間(中学〜高校)+3,648時間(大学)+22,853時間(大学院卒業後)
=32,887時間

生涯の日の出〜日没の外出時間はこの数を採用する。

<計算>
私の頭囲が約60cmなので、わたしの頭を上から見た場合の面積は約286平方cm。
また、日本に生息するドバトの数は、世界に生息するドバトの数*0.25%=約65万羽。
ドバトは20分に1回排泄するので、日本全国では1時間に約195万個のフンが排出される。

従って、私の頭の面積/日本の面積*32,887時間で生産されるドバトのフンの数
=286平方cm/377,900平方km*195万個*32,887時間
=0.004853

つまり、「生涯の外出時間が私と同じぐらいの女性が生涯の内に頭にドバトのフンを被弾する確率」は約0.49%。10,000人に49人の確率。

こちらのページを見ると、自動車交通事故で死ぬ確率や裁判員に当たる確率よりも高いですね。

ちなみにこの計算を行った当時は、「むしろ四つ葉のクローバーを見つける確率が1/10,000でさらに低い確率なので鳥のフンぐらいで喜んでちゃダメな気がしてきました。」と振り返っていました。

※2:本来であれば中学卒業の数値をわたしと同じ年度にしたほうが良いとかいろいろあるかと思いますが、とりあえず概算で数字を出すことを優先するため手っ取り早い数字を使いました。

<参考文献>
学校基本調査(文科省)
→見やすい資料はこちらの高等教育の現状へどうぞ(平成22年度までと少し古くなりますが…)
大卒就職率、17年春最高97.6% 人手不足で積極採用(日経新聞)
新規学卒者の離職状況(厚労省)
婚姻・出産等の状況|平成 27年版 少子化社会対策白書(内閣府)

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