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「呪い」は「まじない」でしか解けない

先日、兼ねてより交際していたパートナーと結婚しました。

婚姻届を出すまでは、「口約束が契約に変わることに一体どれほどの意味があるのだろう」
と、ずーっと考えていました。
結婚してから日が浅いのではっきりとした答えは出ていませんが、一つだけ自信を持って言えることがあります。

それは「正式な書面上で、親との繋がりが1つでも減ることは、呪いから解放された気持ちになって、真っ当でまっさらな世の中に歓迎されているような高揚感を覚える」ということです。

さて、何故そんな感想を抱いたかと言えば、私は父の考え方に納得しておらず、できることなら繋がりを持ちたく無い。と思っているからです。

父親に対する所感は、「おうち時間」が主流になり始めた時期(2020年初夏)に、下記の記事で一度触れたことがあります。
https://note.com/yonmoji_suno/n/n830b223d691b

要約すると、新型コロナウイルスの蔓延関係なく、「家に籠り、ひとりの趣味に向き合うこと(おうち時間)」がデフォルトの生き方である私と、「アクティブに外出し、他人と付き合うこと」がスタンダードの父では価値観が合わないことは疎か、父親は私が家に篭ることを否定し、嫌味を言われる。このことが、とても辛いという話です。

あたかもていねいな心配をしているかのように、生き方を否定することに、何の価値がありますか?
「あなたの為を思って」という言葉の数々は、邪魔で、無意味で、全くもって美しくない呪文です。

どうしたら、この呪いは解けるのだろう。私のなかの痛みは癒えるのだろう。
考え始めると今までの、形が残らないまま傷つけられたことを思い出して泣いてしまうので、あまり考えないようにしながら、それでも、絶対に、おかしいから受け入れることはしないようにしてきました。

幸い、父親が考える真っ当な生き方の1つには「結婚と独立」があったようで、婚姻するにあたり揉めるようなことは特段ありませんでしたが、これが難航していたらと思うと、ぞっとします。

そんな、自由に生きることさえ脅かされる、父親からの支配を阻止してくれたのは、結婚という契約です。
婚約するためには、婚姻届という公的な書類を書きますが、婚姻届には、「2人で決める新しい本籍」を記入してもよい欄があります。事務的な便宜上もあり、本籍を変えることとしました。(余談ですが、本籍は自由に決めてよいそうで、中には皇居がある(!)千代田区を本籍としている人もいるそうです)

届出を書いているときには、そこまで何も思わなかったのですが、婚姻届を出したあと、新しい住民票をみて、とてもびっくりしました。

今までの、親との縁のある本籍に、きれ〜いに一本線が引かれていて、自分の意思で決めた本籍が堂々と書いてあるからです。書面上でしか分からないつながりに、ここまで感謝したのは初めてです。
冒頭でも書いたように、ずっと「婚姻届なんて、何ために書くんだよ〜」と思っていましたが、納得のいく意味を1つ見出せました。

結婚は自由を失う呪いだとも考えていたけれど、むしろ、これまでの親の呪いを相殺するまじないなんだ。そんなことが知れたので、結婚はいい経験になりました。過去形にしてしまいましたが、これからが始まりなので、期待しすぎず、浮かれすぎず、今後とも愚直に美と合理を己に求めていきいたいと思います。

2021/04/08 よんもじ

では、有縁再見!


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