ただホースと蛇口を繋ぎたいだけなのに
昨日、車をいじっている作業場で水を使うために、窓越しに洗濯機用の水栓に散水ホースを繋ごうと、ホームセンターで蛇口用の継ぎ手を買ってきた。
その水栓の蛇口には、外用の水道より一回り大きな径のネジが切ってある。そういくつもバリエーションがあるはずはないので、「大きい方のねじ込み」と、ざっくりした認識で売り場を物色。店頭にはTOYOXというメーカーの多種多様な継ぎ手が並んでいた。
しばらく観察の上、「C-13 ワンタッチプラグメネジ」と「J-26 ネジカセットL蛇口側」がウチの蛇口径に合いそうだと判断。このふたつ、どう見ても同じに見えるが、わざわざ別パッケージ。値段も違ったかどうかは失念したが、蛇口取付けということでJ-26を購入。548円也。
さて、帰ってホースを接続して作業再開しようとするも、どうやっても接続部から水が吹き出す。おかしいなぁと、何度かねじ込みし直すが、ネジが斜めにしか入らない。これはネジ規格が違う?まさか同じ径で別規格…!?そういえば、ねじ込みが金属製のやつ(ちょっと高い)もあったけどもしかして…、と再びホームセンターへ。
あったあった。金属製のは「J-14 自在蛇口用プラグ」。今度は、もう少しじっくりとパッケージを読む。裏面の小さな字を確認すると、J-26は「G3/4サイズ」、J-14は「W26山20サイズ」と異なる記載があるのを発見!どう見てもネジ径は一緒なのだけどなぁと思いつつ、J-14を買って帰宅。780円と、ちと高級品である。
結論から言うと、J-14で接続できて、無事に作業を再開できた。いやはや、最初に小銭をケチって安い樹脂製を選んだのが裏目に出て、余計な出費と無駄足という結果に。
それにしても、同じ径で別のネジ規格が使われているって、いったいどういうことなのか。あらためてパッケージをよく見て気付いた。うちの水栓、蛇口の先にネジが切ってある(カップリング水栓というらしい)のかと思いきや、もともと首振りパイプ(スパウト)が付いているのを外した状態だったのだ。なるほど、パッケージ写真をよく見るとちゃんとその違いが書かれていた。
そもそも「管用並行ネジG3/4」「W26山20」とはナニモノか。
管用並行ねじは、「くだようへいこうねじ」と読み、字のごとく配管接続用に用いられる規格。管用平行ねじの他に締め込むにほど密着度が上がる「管用テーパーねじ」があり、JISに制定されている。実はC-13のパッケージには「PF3/4」と書かれていて、なんと3種類の規格が!?と思いきや、これは旧JIS表記で、G3/4と同じものだった。(つまりC-13とJ-26は、やはり同じ物だった。)
W26山20は、Wと書かれている通りウィットねじ規格で、現在は非JIS。ウィット細目ねじ、だという記述を見かけたけど、調べるとウィット細目W26は1号が山10(1インチあたり10山)、2号が山14とある。ウィットなので、山の角度は55度(メートルねじは60度)。下記リンクにあるように、ピッチを細かくして山高を抑えた、管用の特殊な規格っぽい。
ウイット細目ネジ1号
https://www.ymzcorp.co.jp/ym12/witfneji.html
ウイット細目ネジ2号
https://www.ymzcorp.co.jp/ym12/witf2neji.html
ちなみに管用並行ねじG3/4も山の角度は55度。表記もインチ径で14山なので、ウィット細目ねじ(2号)由来ということなのだろう。14山と20山、そりゃむりやり嵌めても水漏れするわな…。
そんなこんなで、たかだか水栓にホースを繋ごうとしただけで、こんな迷路に迷い込むとは思いもよらなかったのだけど。その迷路を彷徨っているときにみつけたのがこちら。
ありふれた水栓ひとつに、非JISを含めてこんなに多様なネジの規格が使われているとは、びっくりである!
ネジの規格全般については、こちらに簡潔に整理されていた。
ここまで読んで面白いと思えた「その筋の方」は、こちらも楽しんでいただけるかと。ぜひ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?