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事業所得なのか給与所得なのか ウーバーイーツ配達員はなに所得?

所得の区分シリーズ。

前回、事業or雑 について見ましたが

https://note.com/yongshu/n/n745ce80e4f3d

今回は、事業所得なのか、給与所得なのか です。

そういえば、私自身、2021年は10月いっぱいまで税理士法人に一介の勤め人として働いていたので給与所得を得ており、11月から独立開業したので、以後事業所得を得ることとなりました。

事業所得と給与所得のオトクな点

繰り返しになりますが、事業所得だと

・損益通算
・専従者控除(青色であれば専従者給与)
・青色申告特別控除(最大65万円)
・他青色申告における各優遇税制

という点で優遇されています。

一方で、給与所得には給与所得者控除というものがあります。

最低55万円からの、あれです。いわゆる額面給与から最低でも55万円を引いてくれるので、103万円-55万円=48万円 で48万円は基礎控除額(よっぽどの高所得者は除く)がありますので、結果、課税される所得はゼロ。こうして103万円の壁なるものが生まれるわけですね。

つまり

事業所得では最大65万円、給与所得では最低55万円、支出の伴わない経費的なものがある、ということとなります。

…となると、同じ表面上は400万円を稼ぐにしても、200万円を事業として、200万円を給与として、それぞれ得た方が、それぞれの控除(65万円、68万円=200×30%+8 万円)が使えるので、イイってことになります。

給与所得とは ー判例ー

冒頭の前回の記事にも出てきた最高裁判例(昭和56年4月24日第二小法廷)が再び登場します。

弁護士がその法律相談の顧問業務(弁護士における至極一般のふつーの顧問業務)につき、これは給与所得になる!として争ったものです。

そこで、給与所得とはどんなもんやというのが判事されています。いわく

給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかか重視されなければならない。

独立して好き勝手にやってる分には給与じゃないよね、ってことです。

逆に「独立してない(非独立性)」「拘束されてる(従属性)」となると、給与になる、と判断されています。

でもこれって給与じゃなくて事業なの…

という例は、世の中けっこうたくさんあります。これは、2020年の持続化給付金のときにもわりと話題・問題となりました。

事業所得として扱われるものとして有名どころだと、たとえば
・いわゆるヤクルトレディ
・同、生保レディ
・冒頭のウーバーイーツ配達員
・芸能人
・ひとり親方

等々あります。

本人としては、あまり事業をやってるという感覚はそんなにないのではないかと思われ、一年が経ってから渡される年間の”報酬”(”当人からすれば”給料”という感覚じゃないかと思います)表は、源泉徴収票ではなく支払調書です。

で、どうも確定申告をしなければいけないというのでよく分からないけれども確定申告をしている、という人が世の中まあまあいらっしゃる。

ひとり親方なんて、事実上一社専属っていう人も多いのに、事業所得になるってなんなんでしょうね。

一方で、これ給与なんだ…

という例もあり、

・自治会(っぽいところ)に奉仕していたら支払われた市町村からの報酬
・農協で理事だかの役員をしているために得た報酬
・有識者会議に出席したことによる報酬

等々あります。そういえば、そもそも法人の役員の報酬も、給与所得とされています。これについてはわが前橋地裁が昭和 53 年7月13日に出した判決があります。非常勤役員だけど給与所得になるって、なんなんでしょうね。

結局、どうなるの

この論点は、実は消費税にも関わってくるもので、実務的な関心も極めて高いのですが、突っ込みだすと大変なのでこの辺にします。

似たような仕事なのに、生命保険会社によって、人によってかたや給与所得、こなた事業所得になるという現状になっています。

一方で給与所得控除があって、一方で事業所得の控除(先の青色申告特別控除の他に、「家内労働者等の所得計算の特例」という制度もあります)があり、うまく使えばこの二重取りができる、という現状が問題と言えば問題なので、将来的にこれは改正されていくかもしれません。(どっちかだけにするとか)

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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