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事業所得か雑所得かそれが問題だ ~副業は事業所得になりえるか~

所得税における所得の分類のハナシです。

所得税は所得を
①利子②配当③不動産④事業⑤給与⑥退職⑦山林⑧譲渡⑨一時⑩雑
に分類しています。
(り はい ふ じ きゅう たい さん じょう いつ ざつ と暗唱する)
(税理士なのでこのぐらいはさすがにパッと言える)

この分類によって取り扱いが違ってくるので、どの分類になるか、というのが重要です。

電話相談でも「副業してるんですけどどうすればいいんですか」という質問は、毎回1回は受けるような時代になりました。そこで本日はこのうち

事業or雑

について見ていきたいと思います。

事業所得になった方が有利

事業所得であれば

・損益通算
・専従者控除(青色であれば専従者給与)
・青色申告特別控除
・他青色申告における各優遇税制

が使えます。

青色申告をしていなくとも、損益通算が使えます。これは、給与所得があったとしても、事業所得が赤字(マイナス)であれば、相殺ができるというものです。

なので、ネット上等で、「副業で節税!」みたいなのが流れてくるんです。

あのですね、以下にも述べますが、赤字前提で事業所得ってあり得ないですからね…

事業所得とは

所得税法上、事業所得の定義があるわけではありません。いや、あるんですけど(所得税法27条)、その「事業」について、○○業とは定めていますが、どうなったら事業か、という風には定めていません。

ですが、事業所得とは、という点については著名な判例(最高裁昭和56年4月24日)があります。これは、弁護士の顧問契約が給与所得なのか事業所得なのかが争われたものですが、いわく

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得

です。これ、公認会計士の受験生であっても暗記項目。

ここに営利性ってありますね。営利性って端的にいえば儲けることですからね。儲けることを意図していない時点で事業所得と言えませんからね。

雑所得とは

利子 配当 不動産 事業 給与 退職 山林 譲渡 一時
ではない所得。

以上。
ということで、ほかの所得のあまり。

副業は事業所得になるか

本題。

これはもう最終的にはケースバイケースとしか言えないです。
なんらかの数値基準がある、というものでもない。

とはいえ、世の中のサラリーマンがやっている副業
いわゆる「せどり」とか、手先が器用なのを生かして何か作っているとか、PCが得意だからHPを作っているとか…
…雑所得でしょうね

それでメシを食ってる、ってわけじゃないですよね。だからこそあくまで副業。

先の判例の規範からいうと、社会的地位が客観的に認められる、わけではない。

その世界で名の知られた存在になったり、本業と同等ぐらいの収入になったら事業になるかもなぁ、って感じです。このあたり、社会通念という概念が出てきます。

税務署に開業届を出しておけば事業、っていうもんでもないです。あくまで実態で判断。

裁決例とかで見るやつは「なんでそれで争おうかと思ったんかね」と思うぐらいの「いやそれはダメでしょ」というものが多いです。ほんとにビミョーなやつってそんなに見ない。

そういえばでも、あの人事業所得として申告していたけれど、いっちゃなんだけど趣味の延長みたいなもんだよな…というのは前職でもありました。難しいですね。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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