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住宅借入金特別控除(住宅ローン減税)について ~「家屋の取得対価の額」にどこまで含むのか~

住宅借入金特別控除(住宅ローン減税)について 概要編 (下記)に引き続きまして、本日は表記の「家屋の取得対価の額」について。

取得対価の額 vs 年末借入金残高 少ない方 が基準

となってその1%(令和3(2021)年までの大半)が税額控除となります。

そして、世の中、(世界情勢その他で足元で上向きつつあるとはいえ)低金利ということもあってか、自己資金ゼロ、諸経費諸々含めてフルフルで借入をしているという人も少なからずいるようです。

新築当初からオーバーローンであることも珍しくない。世の中いろいろある。

となると、特に一年目から2~3年は、取得対価の額<年末借入金残高 となる可能性が高く、取得対価の額にどこまで含むのかというのは、大きな関心となります。

租税特別措置法の規定

e-gov法令検索で本日現在出てきた租税特別措置法を、適宜要約したのが以下になります。

(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
第四十一条
個人が、国内において、
・住宅の用に供する家屋で政令で定めるもの(「居住用家屋」という。)の新築
・居住用家屋で建築後使用されたことのないもの
・建築後使用されたことのある家屋(耐震基準又は経過年数基準で政令で定めるもの(「既存住宅」という))
の取得をして、これらの家屋を令和三年十二月三十一日までの間にその者の居住の用に供した場合

法律にあるのは「家屋の取得」です。租税特別措置法施行令で面積基準(一棟の家屋で床面積が五十平方メートル以上であるもの)他が定められています。家屋とはなんぞやとまではここまで出てきません。そこで、

租税特別措置法 通達の規定

41-24 「家屋の取得対価の額」には、次に掲げる金額を含むものとする。(1) その家屋と一体として取得した当該家屋の電気設備、給排水設備、衛生設備及びガス設備等の附属設備の取得の対価の額
(2) その家屋の取得の日以後居住の用に供する日前にした当該家屋に係る修繕に要した費用の額又は措置法第41条第30項に規定する要耐震改修住宅の同項に規定する耐震改修に要した費用の額
(3) その家屋が措置法令第26条第1項第2号に規定する区分所有に係るものである場合には、当該家屋に係る廊下、階段その他その共用に供されるべき部分のうち、その者の持分に係る部分の取得の対価の額

ここで(1)に注目します

当該家屋の電気設備…太陽光発電設備も含まれることになります。ここで全量売電するという場合、「当該家屋の」ではない感じもしますが、世の中的には含まれています。全量売電はダメ、とする確固たるものが調べる限り、ない。

給排水設備…水道引込工事も含まれることになります。あと、下水道が整備されていない地域においては、浄化槽設置工事も。

外構等の工事については僅少(それ含めた全体の10%未満)ならOK

家屋に外構工事も含むのか問題については、以下のように、上記の通達に続いての通達があります。

41-26 門、塀等の構築物、電気器具、家具セット等の器具、備品又は車庫等の建物(以下この項において「構築物等」という。)を家屋又は敷地の取得がある場合の当該敷地と併せて同一の者から取得等をしている場合で、当該構築物等の取得等の対価の額がきん少と認められるときは、41-24及び41-25にかかわらず、当該構築物等の取得等の対価の額を家屋の取得対価の額、家屋等の取得対価の額又は敷地の取得対価の額に含めて差し支えない。

さらに国税庁の質疑応答事例があります。

「僅少と認められる」かどうかは、家屋そのものの取得等の対価の額の多寡にもよるので一概にはいえないものの、通常、門、塀等の取得等の対価の額が、家屋そのものの取得等の対価の額と門、塀等の取得等の対価の額との合計額の10%に満たないといったような場合には、これに該当すると考えられます。

とあるので、実務的には10%基準ということになります。

ここで、建物本体2,000万円+外構等工事210万円 の場合
210/2,000=10.5% ≧10% ではなく
210/(2,000+210)=9.5…% <10% なので OKですね。

また、「家屋と併せて同一の者から取得等をしている」とありますので、外構工事はここの業者がいいといって、建物本体工事とは全く別での契約にすると、ダメってことになります。となると、実際の現場的にはいろんなことが起こる。

さすがにこれは含まれないもの

・土地家屋の登記関連費用(登録免許税、土地家屋調査士、司法書士への報酬)
・印紙代
・(作り付けではない)家具、家電の購入費用
・金融機関への融資手数料
・不動産取得税
・火災保険料
・水道加入金・給水装置工事手数料
・下水道事業受益者負担金

いわゆる諸経費ってやつですね。

交付を受ける補助金等の額(典型的にはすまい給付金)は控除

します。あとは自治体によっては家を建てることでなんらかの助成金があることもあるので、それは「家屋の取得対価の額」から控除します。


本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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