自叙伝「#車いすの暴れん坊」#24 車いすでねるとんパーティー参加
その頃、俺は自分で開発した集尿器や介護用品の販売会社、有限会社ヘルプメイト グループを経営していた。しかし、それでもなかなか余裕で食べていけるほど儲かり はしなかった。
有限会社ヘルプメイトグループは、友達何人かと出資してつくった。実はこの事業は、重度センターにいた頃からこっそりやっていた販売システムだった。
重度センターにいるときに考案した集尿器で、実用新案特許を申請したものを工場で 大量に作ってもらって、それを欲しいという奴に分けていた。いや、販売していたの だ。
それとベッドや車いす用グローブなど、重度の障害者でも使いやすいと思うもの を仕入れて、それを知り合いなどに販売する。
インターネットはまだ当時はなかった から、ほとんど口コミや電話で注文を受けての販売だった。
そんなときにテレビで、とんねるずのねるとんパーティーというのがあって、それをモチーフに民間のイベント会社が男性と女性を集めてパーティーを企画し利益をあげていることを知った。
俺はアパートの中のメンバーのひとりと一緒に、そのねるとんパーティーに参加してノウハウを学んだ。5回くらい参加しただろうか。
どういう人たちが参加しているかというと、男性は女性を口説くのが上手い奴か、全然女性に縁のない奴、女性は真剣に出会いを求めて参加している人もいるけど、安くて旨いものが食べられるということで参加しているという人も多かった。
料金体系は男性が 5000円で女性が2000円とか1000円、つまり女性が参加しやすいシステムになっていて、その分を男性が補う仕組み。
会場はホテルや喫茶店や飲み屋さんだったりで、少なくて 20人、多いところで100人くらいは集まっていた。ちょうど俺も彼女がいなかったので、そんな中の50対50のパーティーでカップルになって1年間付き合った。
そのときの経緯はこうだ。50対50で気に入ったひとりの番号を書いてカップルを成立させるというパーティーだったのだが、これを確率的に言うと、50×50、つまり2500分の1の確率でカップルができるわけだ。
当然、簡単にカップルになれるわけではない。そこで俺がとった作戦は、一番最後のテーブルで気に入った女の子に宣戦布告をするというものだ。
「私はあなたのことを気に入りました。私はあなたを書きます。もしよかったら書いてください」
と。こうすれば一気に確率は2分の1になる。
その彼女は俺の番号を書いてくれ、カップル成立となった。ちなみにそのときのカップル成立は5組だった。
そうやって5回、ねるとんパーティーを経験した後、自分たちでねるとんパーティーを開いて稼ぐようになった。
ディスコを貸し切ったり、飲み屋を貸し切ったりし、知り合いに片っ端から電話をして、メンバーを集める。
うちのねるとんパーティーの特徴は、車いすの参加者に扉が開かれていたということだ。そういえば俺が行った5回のねるとんパーティーには、車いすというか障害者で参加していたのは俺と友達だけだった。ねるとんパーティーに来たメンバーも車いすの参加者がいてびっくりしたと思う。
このねるとん企画も、そこそこ儲かりはしたのだが、段々とそのパーティー自体が廃れていった。
一度、ヒットパレードクラブを貸し切って100人のパーティーを企画したのだが、運悪く女性にドタキャンが15名くらいあって、結局、司会者の司会料3万円、これが赤字になってしまった。
これが引き際のサインと思い、この事業から潔く撤退した。世間の流行を敏感に感じ、乗るときは乗る、引くときは引く、この感覚が大切なのだ。
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ユニバーサル別府
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