薬物ダメ絶対
しばらく書きたい話だったが、直近に逮捕者が出るとなんか日和ってしまう。
私は覚醒剤とはどういうものか、その実際を知らない。だから過度に恐れたり、正直言えばその中に変な幻想を抱いたりしているところがある。
中島らもは実際にこの覚醒剤というものを2度ほどキメたことあったらしい。作家は経験というが、ここまでやるのかと感心半分、呆れ半分である。ここでは「薬物ダメ絶対」と一辺倒に言われるよりも、余程詳細に書かれていて興味深い。
彼の著書『アマニタ・パンセリナ』の体験談によれば、得られる効能は主に3つ。ひとつ目はご存知のとおり、フワーっと気持ち良くなる。二つ目は疲れがダムのように堰き止められて、一時的に疲れを感じなくなる(これが溜まり溜まったものがあとでやってくる)。3つ目が視野がギュッと狭くなって目の前のことを単純作業をただ黙々と効果が続くまでやり続ける。例えば目の前に積み木があれば永遠と目の前の積み木を積んでは壊しを精力的にやり続ける。中島らもの場合はエロ本の前で3時間も4時間もしていたそうである。
読んでみると、しかし案外こんなものかと期待外れなところもある。私の勝手な偏見では、ヤれば誰しもビートルズの「All you need is love」みたいなものが出来上がるかと思ったが、そういうわけではないらしい。余程、薬物よりも才能がまずは大前提なのだ。これは薬物で以ってもどうにもならないらしい。
だから、アーティストが薬物が捕まったときに「薬物によるズルだ」だというような批判は実は的外れなのではないかとも思う(そもそもなぜ音楽が発禁になるのか私が十分に理解していないところがある)。薬物をやろうが何しようが、その根幹は才能によるものなのではないか。しかし、誰も薬物などやらないので正解は知らない。擁護しようにも、私もやったことがないので、口を挟むことでもないかもしれない。
それで、どうぞやるならご勝手にやればいいと思う。加えて言うなら誰にも迷惑をかけず、禁止されていない国であればなお良い。他人の事情なんぞ私には理解しきれない。だから、考えた末の選択なら私には咎める権利はない。
私の方はお酒とタバコで手一杯だが、これを書くと嫌でも興味がそっちへ向かされる。「絶対ダメ」という気持ちが軸足にないと、ポンと背中を押されただけでそっちへ転んではしまわないかという怖さがある。だから、あまり近づきたくない。
しかし、捕まる人を見ると誰も彼も素行の悪さが全面に出ているが、もっとも紳士に嗜むという代物でないのは確かである。
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