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バンドの夢

 今日夢のなかではじめて泣いた。 

 夢のなかの私は40代半ば。30代前半までバンドを組んで一旗揚げようと頑張っていたことになっている。どうやらバンドのほうはうまくいかなかったようだが、まだ私は音楽を個人で続けていて、音楽スタジオで楽器に向かい合って、パイプ椅子にひとり座っている。ドラム、ベース、ギター、スタンドマイクと向かい合ってポツンとひとり。 

 しばらく楽器を見つめていると、あの頃のバンドメンバーが淡くぼんやりと浮かび上がってきて各々楽器を手に取って演奏を始める。ドラムが女性であとは男性だった。今の私と同じくらい歳を取ったかつての仲間が昔のバンドの曲を演奏している。 

 喧嘩別れしたアイツ、やめていったアイツ、もう10年以上会っていないのにその姿がありありと見えるのである。私は彼らがまたここに戻ってきたことに鼻をすすって泣く。と同時に、彼らが幻影であることも分かっているのである。 

 演奏が終わると、彼らはまた消えてしまって、また私ひとりだけになる。 

 夢って考えていることを何気なくさらけ出してしまっているようで少し恥ずかしいが、しかしいい夢だった。 

 それで書いていて気づいてしまったのだがこの夢、ゆらゆら帝国の「空洞です」のMVほぼそのまんまだった。バンドをやってないと見る夢も浅い。 

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