96. 家の中での現実逃避(頭皮)
ヒジュラ暦1441.9.23 (2020.5.16)
外出禁止(制限)令が出て、2ヵ月近くなるが、サウジの感染者数は増え続けている。ただ、死者の割合は0.6%と世界の数字7%と比べるとかなり低く、ニュースなどを見ていると、そこが強調されているように思う。
一方で感染者数が減る傾向がない中でラマダン中に外出制限を緩めたのは良い手とは思えなかったが、ラマダン中でさえも24時間外出禁止令じゃやってられないという国民感情に配慮したものだったのかもしれない。
結果的にラマダン中は感染者は増え続けて、5/23からのラマダン明けの祝日(イード)の5日間は再び、24時間の外出禁止となっている。
さて、私の方は外出禁止令が出てからの2ヵ月、仕事こそ、遠隔授業の対応等でバタバタしてはいたが、生活においては、大きな問題もなくここまでやってきている。
ただ、小さな問題はあって、「床屋」と「娯楽」の欠乏があった。このような状況なので、当然、床屋は営業停止になっている。私はもともと、髪は短めなので、他人から見れば、「それぐらいの長さならまだいいですよね」的な感じだとは思うが、当の本人はそうはいかず、日に日に、もこもこしていく頭をZoom越しに見ながら、どうしたもんかな~と思っていた。
娯楽に関しては、何か新しいコンテンツを消費したいと考えていたところだった。それが、本でも映像でも何でもよかったのだが、ちょうど、3月の下旬に「あつまれ どうぶつの森」が発売され、話題になっていた。もう10年以上、ゲーム機でゲームをするようなことはなかったのだけど、何がそんなにおもしろいのか関心があった。
そこで、通販でこれを取り寄せてみた。
バリカンとNintendo Switch liteだ。ちなみにサウジのAmzon.comっぽいところで買うと日本の本来の定価よりは2割程度高い。
みんな考えることが同じなのか、こちらでも家電店のサイトでは品切れ中で、Amzon.comのようなサイトでなんとか入手することができた。
私としては、断然、ゲームをすることでQOLがあがるだろうなと期待していたのだが、実際はバリカンが思いのほか私のQOLを上げてくれた。
生れて初めて、自分で髪を切った(刈った)。9㍉のボウズだ。事前にYoutubeでセルフカットの動画を数本見て、失敗ポイントを確認した。
中学生の頃、野球部に入る時に「五分刈り」にしなければならず、嫌だなぁ~と思いながら床屋に行った少年が、四半世紀後に自らバリカンを手に持ち、率先して五分刈りする中年になろうとは思わなかった。髪を刈りながら、謝罪で坊主にする人とかいるけど、謝罪でも何でもないなと思った(笑)
結果、よくできたと思う。時間こそ1時間近くかかったが、ひどい失敗はなかったと思う。そもそも、どうせ誰にも会わないだ。失敗してもZoomで誰かに見られるぐらいだ。最悪、テクノロジーでカツラでもかぶればいい。
ボウズになった感想としては、想像以上に気持ちがよかった。サウジに来てから床屋には泣かされてきたので、家で髪を切れたことがうれしかった。
あと、なんというか、清潔になった気がしたのだ。髪を洗って、バスタオル一往復で乾く感じ、手で頭を触るとしゅわーしゅわーと柔らかいブラシをなでるような感触、どれも心地よかった。それが味わいたくて、2週間後にまた、刈ってしまう自分がいた(笑)
Nintendo Switch。15年ぶりぐらいにゲーム機を買った。ゲームはよくないという方針の家庭に育ったため、同世代の平均に比べ、ゲーム経験は少ないと思うが、まず、ゲーム機を見て驚いたのは、ボタンが多いことだ(笑)十字キーとABや○×ボタンだけではないのだ。左右にぐるぐるスティックみたいなのはあるし、左右の角を見ればボタンがまた2つずつある。私の指は10本しかないのに。どうなることかと思った。
とりあえず、今回のお目当て「あつまれ どうぶつの森」をダウンロードしてやってみた。正直、まだそこまで楽しさはわからないのだけど(笑)無人島に自分の家を建てて、島を自分の好きなようにカスタマイズし、島民を集めていくという目的がある。
今のところ、別に何かがすごくおもしろいわけではないのだけど、島を走り回る感覚(足音がとても心地よい)。釣りをしたり、貝を拾ったり、木を切ったり、花を育てたり、ゲームの中で他のキャラクターとコミュニケーションをしたり、毎日、ちょこちょことしてしまっている。そう、これって今の生活でできないことばかりなのだ。
私は気づけば、家の周りにツツジを植え、家の敷地にバーベキューとキャンプファイヤーできるようなスペースを作ったり(現実には私は火すら起こせない、でもあこがれている)、また、一生のうちで着たことのないオーバーオールを着たりしている(一度、着てみたいと思っていた(笑))気づけば、サウジ生活であまり感じられない季節の花を愛でることや、人生でできていないことや願望をどんどんゲームの中で実現している。
↑赤のツツジと白のツツジを交互に植えてみた。
↑こんな庭のある家に住めないだろうな~。島の住人が勝手に写真に入ってきた。
どうも、このゲームはいろいろな人と交流することで、楽しさが増すようなので、そのあたりのやり方も覚えて、他の人の島にも行ってみたい。これも今の世界でできないことの一つだ。
もうしばらく続きそうな家での生活。バリカンとどうぶつの森で快適に。
I've Got Reality and Fantasy For Quarantine
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