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#8「あがのあねさま」終戦特番! 「ここが海老名なら、きみは新発田 」

総 裁:授賞式が終わった。これで阿賀北ノベルジャムへの我が著者米田淳一の参戦は『終戦』となった。

ツバメ:賞、取れませんでしたね。

総 裁:うむ。これも想定内である。もともと趣旨的にマッチしておらぬからの。チームメイトの「宵闇の盃」が最優秀賞であったのは本当によかったが、我が著者はほとんどその受賞に寄与も出来なかった。やはり賑やかし目的での参加と言いながら、本当にただの賑やかしで終わった。

ツバメ:でも販売促進賞は取れたじゃないですか。それも審査員さんにめちゃザクザク刺さってる感じでしたよ。

総 裁:あれはデザイナーのヤマシタさんの素晴らしい熱量と判断で取れたのだ。我が著者はここでもほとんど何もまともにしておらぬ。

ツバメ:せっかく新発田に取材に行ったのに。

総 裁:それが肝心の描写に生きなかったと言うことであろう。反省せよ著者。

ツバメ:そうなのかなあ…。

総 裁:趣旨の理解も出来なかったし、趣旨の解釈も無理があった。

ツバメ:そもそもこういう賞の趣旨に合わないって、全てそうなんじゃないんですか。応募の時からわかってたはずです。それでもNGTの方に紹介してもらえて良かったじゃないですか。

総 裁:そうなのだ…。

ツバメ:それなのにすごく褒められてましたよ?

総 裁:褒められても結局もらえなかったのだ。その事実で十分であろう。それが全てだ。

ツバメ:そんな……。

総 裁:でもこれで著者に小説がそもそも『向かない』ことがより一層はっきりしたのだ。

ツバメ:ええっ、著者さん、25年も小説書いてきたのに……それも一度は商業で頑張ってたのに。

総 裁:所詮、遠い過去の話であるのだ。そしてこれが著者の書く小説の限界であろう。これだけやってこれなら、やはり根本で向いてないのだ。小説だけで無く人生的に欠けているから、もう何を書こうとどうにもならぬ。それが向いていないということだ。我が著者はまともに人前でも話も出来ぬ。流行もわからぬ。人の名前もろくに覚えられぬ。部屋も片付けられぬ。そういうところから作家としてやっていくには全く足りぬのだ。わかっていたことだ。

ツバメ:そんな。

総 裁:というわけで我が著者は小説で成功するのはすっかり諦めるに至った。趣味でたまに書く程度なのでどうにもならぬ。

ツバメ:じゃあ、これからどうするんですか。

総 裁:「終活」を始めるのだ。

ツバメ:ええっ、まだ50歳にもなっていないのに?

総 裁:日頃の不摂生がたたってもう先に望みは一切ないのだ。まして人に何かを教える立場でもない。著者の人生自身がすっかり盲腸に陥っているのだ。ずっと出口の無いままのトンネルであった。それはもう終わるのだ。

ツバメ:そんな……。

総 裁:最後の挑戦を始めるときが来た。しかしそれは小説のことではない。

ツバメ:小説、やめちゃうの?

総 裁:やめはしない。だが、もう書くことはずっと減るだろう。もうかつての情熱は割けぬ。致し方なし。全ては著者の力不足なのだ。ずっと第一線にしがみつこうと思ってきたが、もう引退するしか無かろう。そもそも商業出版から引退してからずっと迷走してきたのだが、それはその最期のときを先送りしてきただけなのだ。チャンスを逃すということはこういうことなのだ。

ツバメ:それで引退したあとの最後の挑戦、って?

総 裁:それはここでは言えぬ。もう少しちゃんと形になってからお話しすることになろう。

ツバメ:でも総裁。

総 裁:なんであるのだ?

ツバメ:総裁も、ちょっと寂しそうです。

総 裁:……そうかもしれぬ。

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