詩|嵐よ


大好きな嵐が
窓の外で唸って
木々は横倒しに
はしゃいでいる

鍵を開けたいのに
鍵を開けたいのに
内側から叩いても声が届かない深海水槽みたいに
「大丈夫だよ」って
届いているのかな

嵐よ
身体の前から後ろへ
風を通したいの
ほら
水をあげたいの
早くしないと
草が枯れてしまう
野原が死んでしまう
なのに
走っても
回っても
逆立ちしても
ついてくるだけの

空   洞   。


鍵を開けたいの
鍵を開けたいの
窓って開くものでしょ?
なのにどうしてこれだけ
伝えたい、これが壊れているんだって
早く伝えないと
あなたが去ってしまう前に

嵐よ
あなたには私がどう映っているの
あなたを拒んでいるように見えますか?

私は
鍵を開けたいの
鍵を開けたいの
それだけでも伝わって



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