羊と鋼の森/宮下奈都

静かで淡々とした地味なお話でした。不思議なのは、本書がいろいろ賞をとったり、レビューも高評価なところ。いや、つまらないと言いたい訳じゃなくて、ほんとに地味なんですよね。この淡々とした感じが多くの人に受け入れられたのが不思議に感じました。

登場人物がまたみんな真っ当な人ばかりなので、一波乱が起きるようなこともありません。さらに主人公は真っ当を通り越して純真無垢で清らかで、今まで人間社会で生きてこなかったのか?という感じです。皆、ピアノの世界に没頭するあまり、卑俗なものに触れずに済んだのかもしれません。理想的な生き方です。羨ましい。唯一、先輩の秋野は嫌味な性格ですが、そういうキャラで許されるレベルの可愛いもんです。最後は主人公を認めるナイスガイ。

そんな世界だから読んでいて不快なところが全然ありませんでした。ダウナーな時に読むと疲れた心にそっと寄り添ってくれそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?