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565京人に1人

「あいつは変わったやつだ」

何と比べてそんなことを言っているのか。

君はそんなことを人に言えるほど、立派なのか。


よく、「変わった人」という言葉を使うけれど、変わった人がいるなら、変わっていない人もいるということになる。

変わっていないとは、普通、一般、ノーマル、不変、普遍、標準・・・。

多様性を認める世の中は、どこへやら。

金子みすゞさんの代表作に、「みんなちがって、みんないい」というのがある。

そう、みんなちがって、みんないいのだ。

この世に全く同じ人間はいない。科学でそれが証明されている。

日本の警察が行うDNA鑑定では、同じ構造の人間は565京人に1人だという。

変わってないやつなんて、いない。

もし誰かに変わっていると言われたのなら、それは君が個性を発揮できているということだ。

私たちは社会の中に生きている。

和を以て貴しとなす。それが賢い生き方だし、あえて和を乱す必要性は全くない。

ただ、和を貴しとなしすぎて、自分を見失う人がなんと多いことか。

次第にその和は、一個体として生をなしてゆく。

そしてある日、和にこういわれるのだ。

「お前は変わったやつだ」

憤りを通り過ぎて、深い息が肺からあふれ出てくる。


人間は一人では生きていけない。

島国では特に、協力することの重みが違う。

ただそれは、個をないがしろにしていい理由にはならない。

和を以て貴しとなす。

和の精神とは、体裁だけを取り繕うものではない。

互いに不満をぶつけあい、理解しあう。正直に認める。

こうして和の精神を持った、「輪」ができる。

さっきまで個を攻撃していた和とは、わけが違う。

明るく、生き生きとしていて、強い。

必殺技をいくつも具えたゲームの主人公のように。


君はその必殺技の一つだ。

恥ずかしがることはない。堂々と構えろ。

その技が繰り出されるその日まで、ひたすらに剣を磨けばよいのだから。


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