第4夜 この建築家知ってんのか?海外建築家紹介|全体ディスカッション

この記事は、よなよなzoom#4「この建築家知ってんのか?海外建築家紹介(2020年5月14日開催)」でのプレゼン内容です。

よなよなzoomとは、建築家がお互いに建築について語り合う会です。ラジオみたいな感じで聞いてもらえればと思います。
今日の企画は、海外の建築家を紹介しあう会です。まだまだ日本で知られていない建築家を紹介しつつ、各建築家がどんなことを考えながら建築を考えているのか、などを語っていただければと思います。

今回は、私、廣岡周平と、以下の2名でお送りします。

福岡・佐賀で活動されている大庭早子さん
https://hayakoarqui.com/

大庭さんはYGSAの2個上の先輩です。初めてお会いしたのがGAのブックギャラリーの時です。もともと長谷川豪さんの事務所におられて、その後ブラジルに移られ、今独立して3年です。

東京で活動されている根市拓さん
http://ateliermotoki-shindo.net/

根市さんは、僕がSUEPという事務所にいた時に、学生バイトとしてよく手伝いに来てくれていました。その後、スイスのメントリージオという大学に行かれ、帰ってきたらすごい住宅を作っていてびっくりしました。

では、それぞれの建築家紹介に入りましょう!

廣岡周平さんの海外建築家紹介|lenschow&pihlmann

根市拓さんの海外建築家紹介|baukuh

大庭早子さんの海外建築家紹介|Vilanova Artigas、brasil arquitetura、Ntsche Arquitetos


(ディスカッション)

廣岡:ブラジルを見てても住宅を見てても、大庭さんの人に対する愛を感じます。僕自身は、自分でやろうとしがちなのですが、人を信頼して、信頼関係に基づいてモノを作るという姿に驚きました。そういうのはブラジルのおおらかさの影響もあるのでしょうね。丁寧な対話が素晴らしかったです。

大庭:誰かと共同すること、頼れる部分は頼っちゃう、ということはブラジルから学んだかもしれません。施主との対話については、brasil arquitetiraで早速プランを描き始めようとしたら、クライアントの考え方や暮らしについてもっと話を聞いてからじゃないと線をひいてはダメだよ。と言われました。「すぐ図面を描き始めちゃいけない。」「もっと対話をしないと。」と。これはすごく大きな経験でした。

廣岡:いや、これはすごい話だ!根市さんはどうでしょうか?対話を大切にしますか?

根市:お施主さんからの要望が多かったタイプのお施主さんだったので、すぐに図面を書いていました。でも、その場合、出戻りも出てくるんですよね。はじめにどれだけお施主さんを理解できるのか、っていうのは大切ですよね。あとは現場が先に動いちゃって、スピード感が求められたり。

廣岡:時間をかけることは大切ですよね。初めてのお寺のプロジェクトは、設計期間が2年くらいありました。そこで、「一緒にこの建築を見に行きましょう」「どう思いますか。」というような対話を行いました。お施主さんの精神性に近づいていけたというか、その経験は大きかったです。経済的理由から早さを求めるのは必要ですが、早いなら早いなりにどう相手のことを理解するのかは大切にしないといけないです。相手をよく知るためにリサーチも大切にしています。いや、今日は全体に、対話の重要性を教わった気がします。根市さんが紹介してくれたチームも、かなりの対話を重ねていますよね。かなりのディスカッションをしているなと思ったし、ビール工場も対話も影をすごく感じました。自分たちがどういう場所を作って行くのか、というのに、自分たちの本意に即していなかったと思います。大庭さんにお話しいただいたアルティガスが対話を重視しているというのは、本当に心に刺さりました。
あとは、大庭さんの設計の中にヘルパーさんが出てくるのも興味深かったです。アンビルドになってしまいましたが、それも、施主との対話で生まれたものですよね。

大庭:プロジェクトは止まりましたが、施主のこれからの人生の選択肢のほんの1つを作ってあげられたのではないかと思います。あのとき考えたことは、本当に多くの学びがありました。昨年の武雄の豪雨災害を機に、水害と住まいについてより真剣に考えるようにもなりました。ちなみにこのプロジェクトはSDreviewにも出しましたがダメでした。難しいですよね。

廣岡;これが通らないのか!!僕がよなよなzoomをやっているのは、もっと面白い人がたくさんいる日本建築界のチャレンジを広めたいという思いもあるんです。今日聞いてても二人からの学びは多かったし、賞に限らない面白さはありますよね。賞に入るということ以上に、誰かに意見をもらうこと、会話をすることが大切ですよね。面白かった!今日は寝るまでにいろいろなことを考えるだろうなぁ。

大庭:私も装飾について改めて考える機会になりました。好き嫌いだけじゃなくて、きちんとクリティークすることの重要性も考えさせられました。

根市:僕もブラジルの事例から、装飾あるいは表現というか、遊び心が面白かったです。

廣岡:ユーモアや生きることへの喜びのようなものに繋がっている印象でした。モノの配置の巧みさも印象的でした。生きることへの力強さや、自身の存在表明のために建築空間があるというのもとても大きな学びでした。

ーー
編集;佐藤布武/名城大学建築学科助教

文字校正:大庭早子、根市拓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?