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#よんなな朝の歌 ’22.12⑤

2022.12.13 TM NETWORK「Still love her」

12月のある日、彼女と別離した。その瞬間から心の時間が止まったまま…。僕が抱える喪失感を横目にして二階建てバスが走る日常は、お構いなしに流れていく。アップデートしたくたって、できない恋だってある。彼女はそれだけいい女だったんだ。
TM NETWORK「Still love her」
午前6:09 · 2022年12月13日

 人の記憶は美化されやすいのだろうか、昔の恋愛を思い出せば出すほどに良い思い出がデフォルメされることが多いようだ。この歌の歌詞にある「時が止まったままの僕の心を二階建てのバスが追い越していく」というくだりは、まさにデフォルメされる心を「時が止まったまま」と表し、街の日常を想起させる「(二階建ての)バスが追い越していく」という言葉で締める形をとっている。
 しかし未練ってやつは、なぜに人の心を引き留めてしまうのだろうか。逞しく生きていけばいいと切り捨てることもできなくはないが、思いが深ければそうも簡単には処理できないものでもある。だからこそ未練という物が歌として共感を集めるのではあるが。
 ただしこの曲の最後には「枯れ葉舞う北風はきびしさを増すけれど僕はここで生きてゆける」と、一応のケリをつけようとする心情が覗かれ、再生に向けた希みは捨てていないことが想起される。
 TM NETWORK、1984年デビューの、小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登の3名からなるユニット。デジタルシンセサイザーなどを多用し、電子音楽を通じた近未来的な世界観を作り上げる。ライブ活動は電子機器のクオリティが小室の思うレベルに到達していないことによって「できない」状態に陥り、「ライブをしないユニット」というギミックによって昇華させていた。40年近くの技術の進歩によりライブも聴ける時代にもなったが、当時としては異色の存在だった。

2022.12.14 小林建樹「祈り」

裏アカで紹介するにはピュア過ぎる気がしたのだが、この歌の世界観が好きで。貴方と出会う奇跡を信じていた、とはそう簡単に言えたものでもないけれども…そう言えるくらいの出逢いは人生に一回くらいあって欲しいと願う水曜日の朝。おはようございます。
小林建樹「祈り」
午前5:50 · 2022年12月14日

 自虐含みで言えば…よんなながリアルタイムで「刺さった」歌は、思った以上に売れないというジンクスがある。ミュージシャン本人には大変申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、この小林建樹の楽曲も世界観のすばらしさに比してセールスには繋がらなかったと記憶している。
 ただし、この曲は玄人好みの楽曲だったようで、大学入試に上京にと何度も乗った新幹線の車内放送(新幹線ミュージックチャンネル。FMチューナーを持っていたら誰でも聴けた車内サービス)の月間曲に採用されたり、それこそFM局のパワープレイで多く流れていた記憶が強かった。
 「奇跡を信じてたのさ あなたと出会う前から」という歌い出しに込められた、出逢いに込められた甘やかな期待。「答えを全部知りたいなんてよくない事さ」と、過去を掘り返すことを戒め今を生きることの大切さ。「答えは全部心の中にあるはずだから迷わないで」と、胸に飛び込むことの容認。出逢った相手をすべて受け入れる覚悟を持って、人生一の出逢いに込める祈りを感じる曲に、感動を覚えたものだ。そして、個人的には上京を控えた期待も込められて。
 小林建樹。1999年デビュー。ハイトーンで細めのヴォイス、前衛音楽とも評されるほどの独特なコード進行の曲を得意とする。2022年にもアルバムを発表するなど、現役のミュージシャンであるとともに多数の楽曲提供などの活動を精力的に行っている。そういえば、12月10日もオンラインライブやってたんだったな…後に気付いて後悔してる。。。

2022.12.15 Skoop On Somebody「Sha la la」

「素敵な恋にしよう」と恋の始まりに言われたからには、そうそう雑に恋などする訳にはいかないだろう。この楽曲はあくまでも大人の恋を語らしむ中で、背中をグッと押す強さを感じる。静かに燃えるような恋をしたい木曜の朝、みんなおはよう。
Skoop On Somebody「Sha la la」
午前5:57 · 2022年12月15日

 Skoop On Somebodyの初見は、佐藤竹善がアルバム「CORNERSTONES 2」の中で「amanogawa」をカヴァーし、詩の世界観が好きになって原曲にたどり着いたら、という繋がりから。だから逆にchemistryに提供した「My Gift To You」を知らなかったり…で、半ばモグリのファンじゃないかと疑われたことも(笑)。
 しっかり聴き始めたのも20代の半ばを過ぎたころからだから、ちょうど背伸びをせずして歌詞の世界をリアルに感じていたのもこの頃。「本当の愛を知ろう、孤独さえ分け合える」というフレーズが、ちょうどこの頃の自分には刺さっていたように思う。実世界でどうしようもないほの暗さが支配していたけれど、恋愛においてはSkoop On Somebodyの世界観を軸に見始めたら俯瞰して見られるようになった。音楽的影響よりも、彼らの描く人間模様に強く影響を受けたというところが正直な話ではないかと思っている。
 Skoop On Somebody。1995年結成、1997年デビュー。サム・ジョーンズの下でゴスペルソングを修め、海外での修行を経て帰国したTAKE、スティービー・ワンダーに憧れバンド活動を始めたピアニストのKO-ICHIRO、大学時代より作曲に精通したKO-HEIの3名で結成。KO-HEIの心身の疲れによる脱退と復帰を経て、2022年よりふたたび3名で活動。


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