999ひきのきょうだい番外編4 「999ひきのきょうだいのお母さん」 木村研

 雨、雨、雨。今日も朝から雨です。
 999ひきのおたまじゃくしのきょうだいは、おおよろこび。
「雨だ、雨」「うれしいなー」
と、田んぼの中で元気にあそんでいます。
 きょうだいのお母さんは、
「雨がふるのはうれしいけど、今日は、ふりすぎだわ。だから、うちで待ってるのよ」
と、おつかいにでかけました。
 それなのに、999ひきのきょうだいは、じっとしていられません。さっそく田んぼにでて、おにごっこをはじめました。
「もういいかい?」
「もういいよ」
 雨は、ますます強くなってきました。

「ひどい雨になったわね」
 お母さんが、おつかいから帰ってくると、川があふれて田んぼは水びたしになっていました。
「ぼうや、大丈夫なの?」
 うちに帰ってみると、子どもたちは、だあれもいません。
「大変だわ。川の水があふれて、みんな流されてしまったんだわ。どうしましょう」

 かえるのお母さんは、川のほとりで、子どもたちのことを思いだしながら歌っています。
 ケロケロ ケロロロ ケロロロロ
 すると、
「おかあさーん」「おかあさーん」
と、子どもたちの声が聞こえてきました。
「ぼうや。わたしのぼうやなの?」
「そうだよ」
「ただいまー」
足と手がはえて、しっぽが小さくなったかえるの子どもたちが、小川のほとりを歩いて帰ってきました。
「まあ。もう、かえるになったのね」
 お母さんが、うれしそうにいいました。
 でも、大きくなった子どもたちで、田んぼは、ぎゅうぎゅうぎゅうになったそうですよ。

(作者のことば)
「999ひきのきょうだい」の番外編、お母さんの話です。池がせまくなったから、引っ越しをするんでしょうね。もう一度『999ひきのきょうだいのおひっこし』(ひさかたチャイルド)を読んでみてくださいね。

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