「今日は、カッパの日」 木村研

 ふじこちゃんのおばあちゃんは、裏の畑を借りて、家庭菜園をやっています。
 でも、コロナウィルスの感染が広がって自粛になってからは、時どきしか畑にいけません。
日曜日、おばあちゃんは冷蔵庫を開けて、
「今日は、何にしようかね?」
と、いいました。
「そうめん」
「そうだよ。今日もそうめん流しやろう」
 ふじこちゃんと弟のはるくんがいいました。
「そうだなあ。また、やるか」
 お父さんも仕事場からでてきました。
 お父さんもお母さんも、テレワークでうちで仕事をしているからです。
 すると、お母さんが、
「でも、キュウリがないわ」
と、いいました。
「畑にいけば、たくさんなってるのにねえ」
と、おばあちゃんがいいました。
「だいじょうぶ。わたし、とってくるわ」
 ふじこちゃんは、マスクをして、かごを持ってうちを飛び出していきました。
「気をつけるのよ」

 畑にいくと、畑は青々として、いい気持ちです。
 キュウリのつるの間をのぞいてみると、大きなキュウリがいっぱいなっていました。

「まあ。こんなにたくさん」
 ふじこちゃんがキュウリをとってくると、お母さんが目を丸くしました。
「しばらく畑にいってなかったからねえ」
と、おばあちゃんが笑いました。
「だいじょうぶ」
 お父さんは、ポキント半分に折って、キュウリを、バリバリ食べました。
「ぼくもやる」
「わたしも」
 ふじこちゃんとはるくんも、ボリボリ、キュウリを食べました。
「まあまあ。カッパになったみたいだね」
 おばあちゃんとお母さんが顔を見合わせて笑いました。
 だから今日は、カッパの日になりました。

(作者のことば)
自粛が続いているとき、いろんなことに挑戦してみるといいですね。ぜひ、いろんな日を作って、いろんな食べ方に挑戦してみてください。

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